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企業の担当部署や有志により組成されたボトムアップ組織の人々が社会課題の解決に取り組む上で最も頭を悩ませることの1つに、それらの活動に一切関心を示さない「無関心層」の存在があります。
「人の関心事はそれぞれ異なる」という前提に立つと、無関心層も一定数いるはずであり、「社会課題の解決に気を向けることは、誰かが誰かに強要することではない」と、頭の中で理解はできるでしょう。しかし、実際には無関心層は相当なボリュームを占めており、「その気持ちを動かすことができれば、もっと大きなことができるのに」という歯がゆい気持ちや、「こんなに必死な私たちにしらけているのだろう」という恥ずかしさが混じった何とも言えない気持ちが芽生えてくるのも自然です。
しかし実際によく考えてみると、誰もが最初は無関心だったはずです。正確に言えば「気付いていなかった」、あるいは「知らなかった」はずです。そこに何らかのきっかけがあり、事実に気付き、理解し、考えて行動に移すに至っているのです。
無関心であることも本人の自由であるとして、そのような人たちを「関係のない人たち」とみなすのではなく、「何かに気付くきっかけぐらいは与えられるのではないか」と発想の転換をしてみてはいかがでしょうか。
組織や人に変革を起こし、成功に導く「チェンジマネジント」は、企業や組織が時代に合わせて成長し続けるために、社員全員が変革に適応できるように促すような方法論であり、上述の無関心層にもこのチェンジマネジメントの手法が活用できる考えています。
ただ、チェンジマネジメントの手法をそのまま採用するだけでは、社会価値創出の機運を高める変革を起こしていくことは難しいでしょう。なぜなら、従来のチェンジマネジメントの手法が対象としているのは、大きくは経済的価値の最大化を目的とすることが多く、「チェンジ」が売上や収益の向上につながるという点がわかりやすく、達成状況が見えやすいという特徴があるからです。それらに参加することは、社員が果たすべき責任とも捉えられ、参加するかしないかを自らが選択するようなものではなく、経営層からのトップダウンの力が働いていることも特徴です。
一方で、社会課題の解決を目指す取り組みはどうでしょうか。まず、いまその要素がなくても、個も企業も成り立っているでしょう。加えて、人それぞれの興味のあるなしに差があります。経営層についても、企業活動により社会課題を解決することや、社会価値を創出することの重要性には一定の理解を示しているものの、その力の入れ具合はそれぞれの意見があり、経営層が一枚岩ではないことも多々あります。以上の理由から、従来のマネジメント手法をそのまま使っても、あまり上手くいかない考えられます。
PwCコンサルティング合同会社では、社会課題の解決を志向する人材を増やすため、2017年頃より、チェンジマネジメントを発展させた「ソーシャルチェンジ」に本格的に力を入れてきました。ソーシャルチェンジを「人々が社会課題に気づき、行動を起こそうとするところまで変革していくこと手法」と定義し、自社を実証の場としてさまざまな施策を進める中で、ソーシャルチェンジにもいくつかのステップがあり、そのステップの移行をスムーズに後押しするような施策を講じていくことが大切であることが分かってきました。
まずその最初のステップでは、社会課題自体を知る人が少ない中で、それらを知る機会を積極的に提供し、「そういことがあるのだ」と気づきを与えていきます。それにより、気付きを得た人は「どうしてそんなことになっているんだろう」と理解しようと努める行動につなげていきます。それからは「その社会課題には、自分はどう関わっているのだろう」「自社はどう関わっているのだろう」「クライアントはどう関わっているのだろ」と理解を深めていきます。
そして、おのずと課題を認めた上で、課題が起きている理由を分析したり、解決のための仮説を構築したりと、行動に移し始めます。
社会課題には多様なステークホルダーが関与しています。そのため、最終的に目指す姿としては、人々との協働を促進する人材になることを目指していくのが良いと考えています。それはただ単に人々を束ねるだけではなく、それぞれのステークホルダーの視点を持って、現状や課題をリフレームする力が必要となります。そのリフレーム力を持つためには、社会の多くのステークホルダーが「どういうことを考えているか」「何を課題だと思っているのか」を常に知ろうとする姿勢と環境が必要です。
実際に社内でソーシャルチェンジを進めるためには、そのために必要な人材像を作ることが重要だと述べました。次はそれぞれのステップに導くための施策を考えていきます。
理想は、社内で有志が集まって、自然発生的に活動を始め、そこに仲間が集まってくるという流れだと思います。しかし、会社や組織にはルールがたくさんあり、そう簡単には進まないでしょう。そのような時には、効果的なソーシャルチェンジ施策を検討する時や、その施策を進める際に、以下の要素を織り込んでいくことをおすすめします。
多くの企業は経済価値と社会価値の両立を謳うサステナビリティを志向しています。その価値を生み出す源泉となるのは人材です。人材の育成・啓発にあたり、社会価値創出の視点を織り込み、この2つの価値の創出ができる人材にソーシャルチェンジを起こすことが重要です。
社会課題には多様なステークホルダーが関与しています。その解決のためには、それらの人々と協働を促進する人材になることが求められます。ただ単に人を束ねるだけではなく、それぞれのステークホルダーの視点をもって、現状や課題を捉える力、リフレームする力があれば課題解決が前進します。リフレーム力を持つためには、社会の多くのステークホルダーが「どういうことを考えているのか」「何を課題と思っているのか」を常に知ろうとする姿勢と、それを可能とする環境が必要になります。そういった環境をソーシャルチェンジ施策により整えていくことが重要だと考えます。
社内外の人々とのつながりなくして、社会課題の解決はできません。一人ひとりに、小さな行動を起こすきっかけを提供し、それが社会全体に広がっていけば良いと考えています。