
PwC Legal Tax Newsletterグループ内再編による繰越欠損金の引継ぎに係る納税者勝訴地裁判決(東京地判令和6年9月27日)(2025年3月)
グループ内再編による繰越欠損金の引継ぎに係る納税者勝訴地裁判決(東京地判令和6年9月27日LEX/DB文献番号25621971)をご紹介します。
2024年6月(本号は2024年5月31日までの情報に基づきます)
日付 |
主体 |
内容 |
2024年2月6日 |
SSBJ |
サステナビリティ基準委員会を開催(2/19、3/4、3/21、4/4にも開催) |
2024年2月21日 |
ISSB |
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がボード会議を開催(3/13、4/23、5/16にも開催) |
2024年3月6日 |
SEC |
気候関連事項のリスクと影響に関する公開企業の開示を強化する最終規則を採択 |
2024年3月26日 |
金融庁 |
金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」を開催(第2回を5/14に開催) |
2024年3月29日 |
SSBJ |
サステナビリティ開示基準(サステナビリティ開示ユニバーサル基準およびサステナビリティ開示テーマ別基準1号・2号)の公開草案を公表 |
2024年4月4日 |
SEC |
2024年3月6日に採択した気候関連開示規則の施行を一時停止 |
2024年4月17日 |
金融庁 |
「主要国のサステナビリティ情報等の開示・保証の動向に関する調査」報告書を公表 |
2024年4月23日 |
ISSB |
今後2年間のリサーチプロジェクトを「生物多様性および生態系及び生態系サービス」および「人的資本」とすることを決定 |
2024年4月24日 |
EU |
欧州議会がコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)を採決 |
2024年5月2日 | IFRS財団 EFRAG |
IFRS財団とEFRAGが共同でIFRSサステナビリティ開示基準(ISSB基準)と欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の相互運用可能性ガイダンスを公表 |
2024年5月27日 | 中国財務部 | 「企業サステナビリティ開示基準(基本基準)」*1 の公開草案を公表 |
2024年5月28日 | IFRS財団 |
ISSB基準採用のための法域適用ガイドを公表 |
*1 基準名はPwCによる仮訳
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SSBJは2024年3月29日、次の3つのSSBJ基準案を公表しました。
SSBJ基準案は、2023年6月に最終化されたグローバルベースラインであるIFRSサステナビリティ開示基準(ISSB基準:IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」およびIFRS S2号「気候関連開示」)と整合するように開発されています。
具体的には、ISSB基準のすべての要求事項を取り入れたうえで、日本固有の選択肢を一部追加しています。日本固有の選択肢を適用した場合、SSBJ基準に準拠した開示が、必ずしもISSB基準に準拠しない開示となるわけではなく、ISSB基準に準拠することになる場合もあれば、しないことになる場合もあると考えられます。
また、SSBJ基準案の一部の定めはISSB基準に追加して開示を要求していますが、追加の要求は、ISSB基準に基づく開示の作成過程で入手する情報で作成できるものに限定されています。
なお、サステナビリティ開示は財務諸表を補完する情報を提供しますが、ISSB基準と同様に、SSBJ基準案も、いずれの会計基準に準拠して作成された財務諸表であっても適用できるように開発されています。
ISSB基準については、ESG 10 minutes Vol.8を参照してください。
これらの基準案に関して、SSBJは2024年7月31日を期限として、日本固有の要求や選択肢の必要性などに関する意見を募集しています。その後、2025年3月末までに確定基準を公表する予定であり、確定基準公表日以降に終了する年次報告期間から基準の任意適用を可能とすることが提案されています。
SSBJ基準案は、分かりやすさを考慮して、IFRS S1号のうち、重要性などの基本的な事項を定めた部分と、コアコンテンツを定めた部分を分けて、別個の基準として開発されています。なお、コアコンテンツは、金融安定理事会の「気候関連財務開示に関するタスクフォース(TCFD)」による提言を基礎とする、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4要素に関する開示要件で構成されています。
※1 サステナビリティ基準委員会がサステナビリティ開示基準の公開草案を公表(サステナビリティ基準委員会)
https://www.ssb-j.jp/jp/domestic_standards/exposure_draft/y2024/2024-0329.html
適用基準案は、サステナビリティ関連財務開示を作成し報告するための基本的な事項を定めています。主な要求事項は以下の図表1のとおりです。IFRS S1号のうちコアコンテンツ以外の部分を取り入れたものとなっており、IFRS財団が公表する、産業別のサステナビリティ開示に関するガイダンス(SASBスタンダード)の参照と適用可能性の考慮を求める定めも含まれています。
報告企業 |
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報告期間・タイミング・記載場所 |
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リスクと機会の識別 |
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開示要求の識別 |
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重要性がある情報の開示 |
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コネクティビティ |
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比較情報 |
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(出典:SSBJ解説資料を元にPwC作成)
SSBJ基準案とISSB基準との主な差異は図表2のとおりです。
SSBJ基準が追加で開示を要求する部分 |
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SSBJ基準独自の取り扱いを選択できる部分 |
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(出典:SSBJ解説資料を元にPwC作成)
一般基準案は、IFRS S1号のコアコンテンツの部分を取り入れており、主要な利用者の意思決定に有用なサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報を開示するための要求事項を定めています。IFRS S1号と同様に、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4要素からなります。
SSBJ基準案とISSB基準との主な差異は図表3のとおりです。
SSBJ基準が追加で開示を要求する部分 |
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(出典:SSBJ解説資料を元にPwC作成)
気候基準案には、気候に特化したリスクと機会に関して企業が開示すべき要求事項が定められています。主な要求事項は以下の図表4のとおりであり、IFRS S2号の要求事項と同様に、コアコンテンツを中心に、産業横断的および産業別の指標、気候関連の目標などの開示が求められる内容となっています。
なお、SSBJ基準案には産業別基準に相当する内容が含まれませんが、気候関連のリスクと機会の識別および開示に係る産業別の指標を決定するにあたっては、ISSBが公表する「産業別ガイダンス」を参照し、適用可能性を考慮することが求められます。ISSBが産業別ガイダンスを強制適用とした場合にSSBJ基準に取り入れるかどうかは、今後検討予定であるとされています。
コア コンテンツ |
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産業横断的指標など |
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GHG排出 |
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スコープ2 |
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スコープ3 |
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産業別の指標 |
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気候関連の目標 |
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(出典:SSBJ解説資料を元にPwC作成)
SSBJ基準案とISSB基準との主な差異は図表5のとおりです。
SSBJ基準が追加で開示を要求する部分 |
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SSBJ基準独自の取り扱いを選択できる部分 |
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(出典:SSBJ解説資料を元にPwC作成)
SSBJ基準案は、グローバル投資家との建設的な対話を中心に据えたプライム上場企業に適用される想定で開発されていますが、その他の企業も任意で適用可能です。制度開示における具体的な適用対象や、企業規模(時価総額)による段階的適用、経過措置、保証などについて、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(金融庁)で現在検討中です。
米国証券取引委員会(SEC)は、2024年3月6日に気候関連事項のリスクと影響に関する公開企業の開示を強化する最終規則を採択しました。登録企業のタイプによって、2025会計年度より順次適用されます。 ただし、規則公表以降に規則への訴訟が相次いだことから、SECは2024年4月4日に係争中である法的異議申立の「秩序ある司法的解決を促進する」ため、司法審査が完了するまで、気候関連開示規則を停止しました。 |
2024年3月6日、SECは気候関連事項のリスクと影響に関する公開企業の開示を強化する最終規則(以下、本規則)を採択しました。
全てのSEC登録企業(米国内および外国)が対象となり、登録企業のタイプに応じて段階的に適用されます。気候関連のガバナンス、戦略、リスク管理、目標と目的、GHG排出に関する開示要求に留まらず、財務諸表への影響に関しても開示を要求している点が本規則の大きな特徴です。
財務諸表以外のセクションにおける主な開示要求は次の図表6のとおりです。
ガバナンス |
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戦略 |
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リスク管理 |
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目標と目的 |
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GHG排出 |
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(出典:SEC気候関連開示規則を元にPwC作成)
財務諸表の注記における主な開示要求は次の図表7のとおりです。
異常気象・その他の自然条件の財務諸表への影響 |
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カーボンオフセット、 RECs*2 |
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見積りおよび仮定 |
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(出典:SEC気候関連開示規則を元にPwC作成)
*2 Renewable Energy Certificatesの略で再生可能エネルギー証書のこと
本規則では、大規模早期提出会社および早期提出会社のスコープ1・2の開示に対して限定保証を要求しており、その後、大規模早期提出会社に対しては合理的保証を要求しています。適用時期は次の図表8のとおりです(表内記載の暦年に開始する事業年度)。
登録企業のタイプ |
開示 |
スコープ1・2の保証 |
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開示(右記以外) | 重要な支出と影響 |
スコープ1・2 | 限定保証 |
合理的保証 |
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大規模早期提出会社 |
2025年 |
2026年 |
2026年 |
2029年 |
2033年 |
早期提出会社 |
2026年 |
2027年 |
2028年 |
2031年 |
適用なし |
小規模報告企業 新興成長企業 非早期提出会社 |
2027年 |
2028年 |
適用なし |
適用なし |
適用なし |
(出典:SEC気候関連開示規則を元にPwC作成)
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