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コロナ禍を経てますます重要さを増した企業のパーパス(存在意義)。パーパスは、自社だけではなく、さまざまなステークホルダーとともに大きな船に乗って向かう先を示す指針です。SAPとPwCは、SAPが日本での事業を開始した当初から協業関係にあり、互いに共鳴しあうパーパスのもとで価値創出に取り組んできました。そうした両社が、企業の重要な経営課題としてのサステナビリティにどう向き合い、その実現を可能にするDXをどのように支援しているのか――。SAPジャパン代表取締役の鈴木洋史氏と、PwCコンサルティング代表執行役CEOの大竹伸明が語り合いました。
(左から)鈴木 洋史 氏、大竹 伸明
大竹:近年、自社の成長を追求するビジョン型の経営から、サステナビリティを軸にしたパーパス型の経営へ移行する企業が世界的に増えており、これに対する社会の共感が高まっています。PwCも「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げ、従業員やサプライヤー、顧客などのステークホルダーと信頼を築き、社会に貢献することを目標として活動してきました。
鈴木:PwCのパーパスとSAPの「世界をより良くし人々の生活を向上させる」というパーパスには、非常に近しいものがありますね。お互い世界中の多種多様な業界で企業の変革を支援し、社会的課題の解決につながるビジネスを推進していることが、その共通点の背景にあるのかもしれません。現在私たちが支援する企業の多くは、地球環境を含む幅広いステークホルダーにとって持続可能な企業経営を実現するという重要な課題に直面しています。
大竹:PwCとSAPはそうした課題に対してデジタルの力を最大限に生かそうというアプローチも共有していますね。
鈴木:デジタルとサステナビリティは非常に親和性が高いと思います。ビジネスのDXが進めば、意思決定プロセスにデータを組み込むことができ、サステナビリティ経営実現のための対応策も同時に進められるからです。
大竹:同感です。サステナビリティ経営を実現するには、まずリスクや脅威を棚卸して可視化するアセスメントを行うことで、それらを課題として捉え直し、具体的なアクションにつなげる必要があります。昨今ESG投資の流れもあり、我々のクライアントにおいてもレポーティングにつながるアセスメントのニーズが高まっています。
サステナビリティ先進企業はすでにこうしたアセスメントを終え、アクションに取り組み始めていますが、その際に重要になるのがDXです。ただ、今日ではエコシステム全体の活動がとても大事ですから、1社のDXだけでは効果は望めません。企業間でデータを連携しながらDXを進めることが求められるでしょう。
鈴木:SAPが提供するソリューションは企業活動の全プロセスにわたって支援するものなので、CO2排出量の把握や従業員エンゲージメントなどの非財務情報管理、サーキュラーエコノミーを可能にする製品設計といった、可視化とアクションのためのツールを全プロセスに組み込むことができます。
加えて、SAPは「クラウドカンパニー」としてこうしたソリューションをクラウドで提供することにも注力しています。クラウド上では、企業や業界の枠を超えたベストプラクティスに基づいて、進化し続けるテクノロジーをスピーディーに活用できるうえ、サプライヤーなどを含むバリューチェーン全体でデジタルの恩恵を得ていただけるからです。
大竹:ビジネスの課題はいまや日々変化し続けていますから、各社がオーダーメードでオンプレミスのシステムを導入していたのでは、そのスピードに到底ついていけません。クラウド上で新しい機能をどんどん追加されるプラットフォームは、サステナブル経営に向けたDXに必須のインフラと言えますね。
SAPジャパン株式会社
代表取締役
鈴木 洋史 氏
JDAソフトウェア・ジャパン株式会社代表取締役社⻑、JDA Software Inc.アジアパシフィック地域副社⻑、日本アイ・ビー・エム株式会社理事・スマーター・コマース事業担当を経て、2015年1月にSAPジャパン株式会社へバイスプレジデント・コンシューマー産業統括本部⻑として入社。2018年1月より常務執行役員インダストリー事業担当として、日本市場における全産業・大手企業向けビジネス全体を管轄し、日本企業のデジタル変革を支援。2020年4月1日より現職。
大竹:社会の変化が加速し、企業の課題が複雑化するなか、企業は自社に閉じることなく、広く業界や市場全体に目を向けて、他社や他国のベストプラクティスやユースケースを把握し、未来をデザインする必要があります。日本企業ももちろんグローバリゼーションを推進してはいますが、その発想や着眼点は「海外市場でも事業を展開している」というインターナショナルカンパニーにとどまっているケースが少なくありません。真に地球規模の視点を持って経営に取り組むグローバルカンパニーとならなければ、サステナビリティのような大きなテーマに対応していくのは難しいでしょう。
PwCは世界155カ国に拠点を持ち、さまざまな領域における高い専門性と豊富な知見を有するプロフェッショナルがグローバルに連携するネットワークです。同じく世界中で多様な業種の企業にソリューションを提供するSAPとのパートナーシップを通じ、グローバルカンパニーとして持続可能な成長を目指す日本企業に大きな価値をもたらすことができると考えています。
鈴木:単なるツールの導入ではなく、ビジネスの上流を理解し、グローバルカンパニーとして何にどう取り組むべきかを踏まえた支援がともにできるという点で、PwCはとても心強いパートナーです。とりわけ日本では、30年前にSAPの日本市場参入を当時のプライスウォーターハウスのコンサルティング部門にサポートしてもらって以来の関係性があります。その時のチームメンバーの1人が大竹さんでしたね。
大竹:長いお付き合いになります。その間、クライアントの課題は急速に変化し、それに伴って両社が提供するソリューションも進化してきましたが、常にクライアントを取り巻くビジネス環境について議論し、目線を合わせながら協業を続けています。
近年では、今回お話ししているようなサステナビリティといったより大きなテーマに関しても、さまざまな取り組みを進めています。その1つが、シングルマザーであったり介護をされていたりといったさまざまな事情によりフルタイムでの就業が困難な全国の女性を対象に、デジタルスキル習得と就労の機会を提供するプログラムです。当社が生活困窮者を支援するグラミン日本と実施したBXT(デザイン思考を基にBusiness、Experience、Technologyの3つの視点から新たな価値を創造するPwCのアプローチ)ワークショップにSAPの社員の方が参加してくださったことがきっかけで始まったもので、今後当社でもこのプログラムを通じた業務委託を導入し、眠っている労働力を活用することを検討しています。
鈴木:スキル習得や就労を望む女性と、デジタル人材を求める企業とをSAPのソリューションでマッチングするというこの取り組みは、まさにデジタルを活用した社会課題解決を体現する活動と言えます。SAPでは、DE&I (ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)を掲げて、多様性を受容し、多様性が醸成するシナジーによって働きがいのある職場を実現していくことを目指しています。このような取り組みは、女性の隠れたポテンシャルを掘り起こし、雇用を促進することにもつながります。
大竹:PwCもインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)の実現に取り組んでいますが、多様で異なる視点を取り入れるインクルーシブな企業文化は、従業員の能力を最大限に発揮するための土壌となりますね。I&Dについては、婚姻の平等(同性婚の法制化)への企業賛同キャンペーン「Business for Marriage Equality(BME)」にも、SAPには当社の呼びかけに応じていち早く賛同いただきました。両社の協業がビジネスを超えて社会への価値創出にもつながっていることをうれしく思います。
PwCコンサルティング合同会社
代表執行役CEO
大竹 伸明
1991年にコンサルタントとしてのキャリアをスタートしてまもなく、2年間ドイツに駐在し、SAP AGにて製品の日本化プロジェクトに携わり、帰国後SAPジャパン立ち上げ支援プロジェクトに参加。以来、コンサルティング業務に従事し、自動車メーカー・自動車部品メーカーを中心とした製造業および総合商社をメインクライアントとし、業務変革(バックオフィス、フロントオフィス業務)、IT実装(ERP導入経験多数、クラウド導入)、PMO案件など、さまざまなタイプの案件を手がける。会計管理領域、販売管理領域、設計開発領域に強みを持ち、海外案件、クロスボーダー案件など、国際色の強いプロジェクトの経験を数多く有する。
大竹:パーパスやサステナビリティの実現といった広範かつ長期的な視点で企業経営に取り組み、持続的な成長を可能にするためには、幅広いステークホルダーと信頼関係を築くことが重要です。PwCでは2021年に新たな経営ビジョン「The New Equation」を掲げ、クライアントの信頼構築と持続的な成長を支援することを目指し、サービスと組織の双方の変革を進めています。
鈴木:既存のステークホルダーと信頼関係を深めながら、さらなる成長を目指す、両利きの経営ですね。SAPでは「クラウドカンパニーへのさらなる深化によってお客様の成功に寄与すること」「社会課題解決を通じて、お客様、パートナー、そして社員から選ばれる会社となること」「お客様をサステナブルな企業へ変革する支援をして、1億人にインパクトを与えること」という3つの方針を掲げていますが、ここでも、信頼され選ばれる会社となることで、お客様の成功を支援しインパクトを実現するという、信頼と成長のバランスが重要になります。
大竹:サステナブルな企業への変革で1億人にインパクトを与えることができれば、日本社会全体のサステナビリティ実現に対する大きな貢献となりますね。
鈴木:日本は少子高齢化や格差、低成長など数多くの社会課題を抱える課題先進国です。そうした課題解決において、デジタルの力でできることはたくさんあります。社会課題解決に対する志を共有する者どうし、これからもともに日本企業のDXを支援し、サステナビリティ経営のイネーブラーの役割を果たしていきたいですね。
大竹:そうですね。PwCはグローバルネットワーク全体で1万2,000人以上のSAPコンサルタントを有し、SAPとのパートナーシップのもと、世界各国で企業のDXを支援してきた実績があります。グローバルで培ってきた両社の知見を活かし、日本企業の成長と社会課題の解決を支えていきたいと思います。
S/4HANAクラウドをコアとした「RISE with SAP」のAPAC市場における拡販・浸透への貢献を評価され、PwCは2022年、APAC全体で「SAP Asia Pacific Japan Award for Partner Excellence 2022 for RISE with SAP」を受賞