テクノロジー業界のコンサルタントが語る テクノロジー業界の未来トレンド予測から導出する業界課題とその対策

第5回◆メガトレンドへの適応が急務。グローバルサプライチェーンのリコンフィギュアと、その取り組みを支えるデータ活用の現在地

  • 2024-06-17

詳細なデータを蓄積するシステム構築を急ぐ

方:
拠点の見直しと整理を行う一方で、各拠点をつなぎ、グローバルで情報共有するためのシステム構築も重要ですね。

山口:
はい。海外での売り上げが大きい企業グループでは、CRMなどのシステムで各拠点とのデータ共有を図り、売上や営業状況を可視化しています。営業の情報を本社が把握できれば、必要なサポートを提供したり人員や商品といったリソース配分を見直したりすることができます。スピードやタイミングという点では、そのような情報をタイムリーに把握することが重要です。また、日々の事業活動を通じて蓄積していくデータを次世代の商品開発や生産設備の投資戦略などに生かすこともできるため、私たちはデータドリブン経営の実現も支援しています。

田中:
システム統合の課題はM&Aなどによって規模を拡大している企業でよく見られますよね。それぞれにレガシーシステムがあり、データ活用の文化も異なる中で、現場の負担を増やさずにグローバルでの情報の共有と吸い上げを可能にしていくことは、統合によるシナジーを創出するためのポイントになります。

方:
グループ内でのデータ共有は、従来からその重要性が認識されてきました。CRMなどによるデータ活用も進んでいるのでしょうか。

山口:
企業により差があります。例えば、グローバル拠点の一部が独自のシステムを使っている場合、グループ全体でのデータ共有が実現できていないケースや、データの内容が乏しく、販売先と商品名しか登録していないケースがあります。データは貯めるだけでなく、それを分析することによって改善などに結びつけることが重要です。そのためには、顧客への訪問回数や商談の内容など営業プロセスをできる限り細かく情報として残す必要があります。より多くの情報が取れるシステムのセットアップや、データの入力や活用を推進するための取り組みはニーズが大きいですね。

方:
データの蓄積と活用を推進していくためにはどのようなポイントが重要になりますか。

山口:
業務の内容やプロセスは拠点ごとに異なることが多いため、共通のシステムを入れるだけではなく、並行して業務の共通化や標準化を進めていく必要があります。また、日系企業は優良顧客への特別対応によって関係性を強化していることが多く、それが日系企業の競争力の源泉にもなっています。データ共有による営業活動の効率化と、特別対応を軸とする営業活動には相反する部分があるため、そのバランスを取りながら全体最適を目指して舵取りしていくことが今後の課題です。

PwCコンサルティング合同会社 マネージャー(PwC英国からの出向者) 方 雪瀅

PwCコンサルティング合同会社 マネージャー(PwC英国からの出向者) 方 雪瀅

グローバルでの連携でクライアントを支援し、パートナーシップを通じてナレッジとノウハウを蓄積

方:
このような課題を解決していくためにPwCではどのような価値を提供できるでしょうか。

山口:
PwCの強みの1つはコラボラティブな組織風土だと思っています。例えば、私は2023年に南アフリカのクライアントを支援しました。このプロジェクトが円滑に実行できた理由の1つは、現地の企業や働く人たちの文化や慣習を理解しているメンバーと協業できたことだと思っています。PwCグローバルネットワークの各地域に、あらゆる業務のプロフェッショナルがいること、また、リスクの特定や、それを踏まえた戦略の策定、実行への落とし込みといった各レイヤーで求められる機能に応じてメンバーを結集し、クライアントの課題解決に貢献できることが私たちの強みだと思います。

方:
そうですね。私の出向元であるPwC英国でもファーム内外のメンバーと連携することが多く、グローバルネットワークの強さを感じます。

田中:
さまざまな連携が生まれる背景には、「One PwC」の意識を持っている人が多いことが挙げられます。これはPwCクローバルネットワークの各メンバーファームが、組織、部門、国、地域を問わずに一丸となってクライアントの課題解決に尽くすという意味です。

実際、声を掛ければ快くサポートしてくれますし、メンバーファームそれぞれが築いているレピュテーションや、政府や企業など関係者とのつながりを活用して協力してくれます。その機動力はPwCの重要な提供価値ですよね。また、PwCの看板もグローバルで共通であるため、紹介してほしい人や話を聞きたい人などとのつながりが作りやすいことも私たちの特長だと思います。

方:
PwCが大切にしている5つの価値観と行動指針(Values & Behaviours)の中にも「Work together」と「Care」があります。

田中:
そうですね。研修では「One PwC」や行動指針などについて学ぶ機会があり、おそらく採用の選考でも、私たちがこのような働き方を長所としていることと伝え、共感してくれる人をメンバーに迎え入れているのだと思います。現場でも、私を含めて、多面的な支援がクライアントの幸せにつながり、巡り巡って自分たちの幸せにもなることや、より良いサービスを提供していくためには1人で抱え込まずに協力を得た方が良いといったことを感覚的に理解していることが大きいのだと思います。

方:
社外との連携という点では、テクノロジー系では米国のITジャイアントやCRMの世界的なベンダーなどとのアライアンスを構築しています。このようなパートナーシップをサービスに反映できることも強みですね。

山口:
IT大手との協業を通じて蓄積できている知見がありますし、私たち独自の取り組みとしても、グローバルネットワーク内でDX、AI、生成AIに関する技術や知見の共有を推進しています。また、PwC Japanグループ内にテクノロジー分野の専門チームがあり、PwCコンサルティングのTechnology Laboratoryを拠点としてクライアントに先端テクノロジーを体感いただく機会も提供しています。

方:
最後に、グローバル展開する企業に向けてメッセージをお願いします。

田中:
企業を取り巻く5つのメガトレンドは、一つひとつが大きなリスク要因であると同時に、それぞれが複雑に絡み合うことによって、より対応が難しくなっているのが現状です。簡単には解決できない課題だからこそ、私たちはクライアントの海外展開を支え、推進していくためのパートナーとして長期的に支援していきたいと思っています。

山口:
多様な専門性を持つメンバーによって多面的な支援ができることが私たちのケイパリリティです。この強みをグローバルで磨いていくとともに、クライアントの皆さまにも私たちのケイパビリティをご活用いただきたいと思います。

主要メンバー

田中 翔子

マネージャー, PwC Singapore

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山口 凱之

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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方 雪瑩

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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