ステークホルダーの信頼をいかに得るか

サステナビリティ情報の保証でトラストギャップ(信頼の空白域)を埋める

  • 2025-04-07

GHG(温室効果ガス)排出量や人的資本の状況などのサステナビリティ情報の開示と保証は、真の企業価値創造において欠かせない重要なテーマである。「サステナビリティ」をプライオリティ―テーマに掲げ、サステナビリティ情報の開示支援と保証の提供に力を入れているPwC Japan有限責任監査法人で保証をリードする遠藤英昭氏と、監査の研究を専門とする立教大学の小澤康裕准教授に、サステナビリティ情報の開示が求められる理由と、この領域におけるトラストギャップ(信頼の空白域)の埋め方について聞いた。

(左から)遠藤 英昭、小澤 康裕 氏

(左から)遠藤 英昭、小澤 康裕 氏

登場者

立教大学
大学教育開発・支援センター 副センター長
経済学部 准教授 博士(経営学)
小澤 康裕 氏

PwC Japan有限責任監査法人
公認会計士 上席執行役員 監査事業本部 副本部長
パートナー
遠藤 英昭

※本稿は、日経ビジネス電子版の記事広告を転載したものです。
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「財サス一体」の監査・保証体制でワンストップのサービスを提供

もう1つ、PwC Japan有限責任監査法人がサステナビリティ情報の保証サービスを提供する上で大きな強みとしているのが、「財サス一体」の監査・保証体制を構築している点だ。文字通り、財務会計の監査もサステナビリティ開示の保証も、同じメンバーがワンストップで実施するというものだ。

「相互に深く関わり合っている財務とサステナビリティの活動を関連づけながらサービスを提供できることが大きな価値だと思います」と遠藤氏は言う。

例えば、会計監査の項目には、固定資産や売り上げ・仕入れの監査手続きなども含まれるが、これらの手続きを通じて、サステナビリティ情報開示の正確性や整合性を検証する機会も得られるという。

「生産設備の件数や規模と比べ、開示されているGHG排出量が少ないのではないかとか、売り上げや仕入れ規模に照らし合わせると、トラックによる輸送量は多いはずなので、より大量のGHGを排出しているのではないか、といった疑問が浮かび上がってくるわけです。会計上の数字とビジネスの状況は密接に結びついているので、会計監査のメンバーがサステナビリティの保証まで担当することには大きな意味があるのです」(遠藤氏)

小澤准教授は「会計監査を通じて、企業のあらゆる側面を把握し、独立的な立場から評価ができる点も、監査法人はサステナビリティ情報の開示・保証の担い手として最適任です。『間違いや不正は起こり得る』という前提に立って、健全な懐疑心を発揮しながら監査や保証のサービスを提供できることは、トラストギャップを埋める上で非常に重要な要素だと言えます」と話す。

サステナビリティ情報の開示・保証の重要性は、間違いなく今後ますます高まっていくだろう。最後に、小澤准教授は次のように語った。

「これからの企業は、社会の急速な変化に柔軟に対応し、持続可能な存在であり続けることが求められています。そのためには、サステナビリティ情報の開示と、それに対する反響を基に、正しい行動ができているか、その行動はステークホルダーに評価されているかを検証し続けることが大切です。開示内容に信頼を付与する保証が伴えば、ステークホルダーの理解を得ながら、より良い未来を築き上げられるはず。それが結果的に企業価値の向上にもつながることでしょう」

遠藤氏も「これからは、自社評価がしっかりできる企業であることと、それを外部にきちんと説明できる企業であることが求められます。PwC Japan有限責任監査法人はそれらをサポートし、ステークホルダーが求めるトラストギャップを埋めることで、社会への貢献と企業価値向上を支援してまいります」と語った。

主要メンバー

遠藤 英昭

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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サステナビリティー開示で求められる「保証」の実務上の論点:週刊金融財政事情 2025年4月1日号

2025年3月、サステナビリティ基準委員会がサステナビリティ情報の開示基準を最終化しました。サステナビリティ開示を巡っては、開示情報の信頼性を担保するため第三者による保証が重要となります。保証計画の策定など、「保証」の実務上の論点について解説します。(週刊金融財政事情 2025年4月1日号 寄稿)

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