外国子会社配当益金不算入

読み方:がいこくこがいしゃはいとうえききんふさんにゅう

定義

外国子会社配当益金不算入とは、2009年度税制改正において導入された制度であり、一定の外国子会社から受け取る配当金を益金不算入とするものです。これは、外国子会社からの配当にかかる二重課税排除の方法を、従来の間接外国税額控除から変更する意味を有しています。

本制度導入の狙いは、適切な二重課税排除の方法を維持しつつ、制度を簡素化することにより、外国子会社の留保金を日本に還流(配当)させ、経済の活性化を図ろうとするところにあります。

外国子会社配当益金不算入の対象となる外国子会社とは次の2つの要件を満たす外国法人とされています (法人税法23条の2)。

  1. 次の(1)または(2)の割合のいずれかが25%以上となっていること(租税条約により、これより低い割合になることもあります)。
    (1) 外国法人の発行済株式等のうち、内国法人が保有している株式等の割合(当該外国法人が保有する自己株式等は除外して計算)
    (2) 外国法人の発行済株式等のうちの議決権のあるもののうち内国法人が保有している議決権のある株式等の占める割合
  2. 上記1. の状態が剰余金の配当等の支払い義務が確定する日以前6カ月以上継続していること。

本制度の対象となる配当の額は、法人税法23条1項1号に掲げる金額および同24条のみなし配当の金額となります(一部対象とならないものもあります)。

本制度により実際に益金不算入となる金額は、外国子会社から受け取る剰余金の配当等の額からその剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとされた金額を控除した金額となります。この費用の額に相当する金額とは、具体的にはその剰余金の配当等の額の5%相当額とされていますので(法人税法施行令22条の4②)、結果的に剰余金の配当等の額の95%に相当する金額が益金不算入となります。

本制度の適用対象となる配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は、外国税額控除の対象とならず(法人税法施行令142条の2)、損金算入もできません(法人税法39条の2)。

(注)税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting: BEPS)行動2を踏まえて、2015年度税制改正により、本制度の対象から、外国子会社居住地国における損金算入配当等が除外されることとなりました(オーストラリア子会社からの償還優先株式(MRPS)やブラジル子会社からの利子配当等)。なお、本制度の適用対象から除外する配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は、外国税額控除の対象とされます。本改正は、2016年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当等の額について適用されています。2016年4月1日において有する外国子会社の株式等に係るものについては、2018年4月1日以後に開始する各事業年度において受ける配当等の額について適用されています。

本用語解説は2022年5月1日現在の法令等に基づいて作成されており、これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解説は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本解説の情報を基に判断し行動されないようお願いします。