読み方 : がいこくぜいがくこうじょ
外国税額控除とは、国際的な二重課税を調整する目的で、外国で納付した外国税額を一定の範囲で税額から控除する仕組みをいいます。
日本の居住者や内国法人が稼得した所得は、原則として、国内源泉所得のみならず、国外源泉所得まで含めたいわゆる「全世界所得」に対して所得税ないし法人税が課されることになります。そのため国外での取引等により相手国で課税の対象となる所得を有することになった場合、当該居住者ないし内国法人は、同一の所得に対して日本および相手国の双方で課税を受けることになります。この二重課税を排除するための制度が外国税額控除です。
一般に、国際的二重課税を排除する方法としては、この外国税額控除方式の他、国外所得免除方式(国外源泉所得の課税につき、居住国で課税対象としないこととする方式)がありますが、日本では原則として外国税額控除方式を制度として採用しています(所得税法95条、法人税法69条)。なお、外国子会社からの配当金に関しては、2009年度税制改正により、法人税法上、従来の間接外国税額控除制度に代えて、益金不算入制度が採用されることになり、これによって二重課税の問題が解決されるようになりました。
外国税額控除制度により控除できる外国所得税(外国法人税)の限度額は、次のとおり算出されます。
また外国税額控除の対象となる外国所得税(外国法人税)とは、原則として外国の法令に基づき外国またはその地方公共団体により個人(法人)の所得を課税標準として課される税とされていますが、様々な例外が規定されています(所得税法施行令221条、法人税法施行令141条)。
なお、控除対象となった外国税額が、その課税年度(事業年度)の控除限度額を超える場合で、当該課税年度前3年以内の各年(当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度)に繰越控除限度額があるときは、これを限度として、その超える部分の金額をその年(事業年度)の税額から控除することができます。同様に、控除対象となった外国税額が、その課税年度(事業年度)の控除限度額に満たない場合で、当該課税年度前3年以内の各年(当該事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度)に繰越対象外国所得(法人)税額があるときは、当年(当事業年度)の余裕額を限度として、その繰越対象外国所得(法人)税額をその年(事業年度)の税額から控除することができます。
(注1)外国法人に対する課税原則が、従来の「総合主義」から2010年改定後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に移行したことにより、外国法人(非居住者)の恒久的施設のための外国税額控除制度が設けられました(2016年4月1日以後開始事業年度(非居住者は2017年)から適用)。
(注2)地方法人税、住民税にも外国税額控除の規定があります。
本用語解説は2022年5月1日現在の法令等に基づいて作成されており、これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解説は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本解説の情報を基に判断し行動されないようお願いします。
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