国内源泉所得

 

読み方:こくないげんせんしょとく

定義

国内源泉所得とは、日本国内にその発生源泉がある所得のことをいいます。非居住者や外国法人であってもこの国内源泉所得を有している場合は、日本で所得税または法人税が課税されます(居住者(非永住者を除く)や内国法人は日本国内外において稼得した全ての所得が課税対象となります)。

国内源泉所得の具体的な内容は、所得税法161条に次のとおり規定されています(法人税法第138条にも別途の規定があります)。

  1.  恒久的施設に帰せられる所得
  2.  国内にある資産の保有・運用により生ずる所得
  3.  国内にある資産の譲渡により生ずる所得(一定のものを除く)
  4.  国内において民法に規定する組合契約等に基づいて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
  5.  国内の土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(一定のものを除く)
  6.  国内で人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
  7.  国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
  8.  日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち一定のもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
  9.  内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
  10.  国内で業務を行う者に対する貸付金の利子で国内業務に係るもの
  11.  国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、またはその譲渡の対価、著作権の使用料またはその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
  12.  国内での勤務に対する給料等、賞与、退職手当、人的役務の提供に対する報酬や公的年金等
  13.  国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
  14.  国内にある営業所等を通じて締結した年金保険契約に基づく年金等
  15.  国内にある営業所が受け入れた定期預金の給付補てん金等
  16.  国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
  17.  上述のほか、源泉が国内にある所得として政令で定めるもの

国内源泉所得の課税方法および範囲は、その種類や恒久的施設の有無によって異なってきます(所得税法164条、法人税法141条)。なお、租税条約に異なる定めがある場合は租税条約に従うことになっており(所得税法162条、法人税法139条)、租税条約における所得の意義は国内法に優先して適用されます。

(注)2016年4月1日以後開始事業年度より、国内において行う事業から生ずる所得に代えて、外国法人の恒久的施設に帰せられる所得が新たに国内源泉所得の一つとされています。なお、利子・配当等の国内源泉所得は、帰属主義により恒久的施設に帰属しない限り、所得税の源泉徴収だけで課税関係が完結することになります。

本用語解説は2022年5月1日現在の法令等に基づいて作成されており、これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解説は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本解説の情報を基に判断し行動されないようお願いします。