租税回避行為



読み方:そぜいかいひこうい

定義

租税回避行為とはどのような行為をいうのかについては法律上明らかにされておりませんが、一般的には、「私法上の形成可能性を異常または変則的な態様で利用すること(濫用)によって、税負担の軽減または排除を図る行為」をいいます(金子宏著「租税法<第24版>」より)。

いわゆる脱税行為が、課税要件の充足の事実を全部または一部秘匿する行為であるのに対し、租税回避行為は、私法上はあくまでも有効な取引を行なうことにより、課税要件の充足そのものを回避しようとする行為、または減免規定の適用要件を充足させる行為であり、この点において異なります。また、いわゆる節税行為が、法が本来予定している取引により税負担の軽減を図る行為であるのに対し、租税回避行為は、租税法規が予定していない異常ないし変則的な法形式を用いて税負担の軽減を図る行為であり、この点が異なります。

日本の税法上、このような租税回避行為を否認する包括的な一般規定はありませんが、次のような 1.一般的と言える否認規定、および 2.個別的否認規定が設けられています。

1. 一般的と言える否認規定

  • 同族会社等の行為又は計算の否認(法人税法132条等)
  • 組織再編成に係る行為又は計算の否認(法人税法132条の2等)
  • 連結法人に係る行為又は計算の否認(旧法人税法132条の3(注))
  • 外国法人の恒久的施設帰属所得に係る行為又は計算の否認(法人税法147条の2)

    (注)通算法人に係る行為又は計算の否認(新法人税法132条の3。令和4年4月1日施行)

2. 個別的否認規定

  • 役員給与のうち不相当に高額な部分の損金不算入(法人税法34条2項)
  • 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆるタックスヘイブン対策税制、租税特別措置法66条の6)

このような租税回避行為を否認する規定がない場合に、当該行為を否認し課税することができるかどうかが問題となりますが、租税法律主義の立場を重視し、これを否定する考えの方が有力と言われています(この点につき最高裁判所からは明確な判断が出されておりません)。

本用語解説は2022年6月1日現在の法令等に基づいて作成されており、これ以降の税制改正等が反映されていない場合がありますのでご留意ください。また、本用語解説は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けることなく、本解説の情報を基に判断し行動されないようお願いします。