
カスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスの出会い
マーケットでの競争が激化するなか、成功しているビジネスリーダーは、価値の創出には体験から得られるリターンが不可欠であると認識しています。本レポートでは、顧客と従業員の体験に焦点を当てて企業がとるべき対応策を解説するとともに、日本企業に向けた示唆を紹介します。
2021-08-03
人工知能(AI)を旧来の情報システムと同様に捉え、勘違いした活用を進めるケースを散見する。全社規模でのAI活用を旗振りする経営者が、心得ておくべき掟(おきて)を2つ紹介する。
1つ目は「失敗を許す」ことだ。旧来の情報システムの導入は、全体設計してから順序立てて開発するウォーターフォール型で進めることが一般的であった。あらかじめ綿密な計画を作り、経営者が全体計画の投資を承認し、開発するのだ。この方法では、計画段階で見込んだ効果を確実に出すために失敗が許されない。
AIはデータを分析しない限り、現場で効果が得られる精度が出るか分からない。場合によっては分析する中で想定外のインサイト(隠れた真実)を発見し、活用のアイデアを得ることも多い。そのためAI導入には短期間で開発と検証を繰り返すアジャイル型で進める。多くの失敗を繰り返しながら軌道修正し、大きな効果を出す成功パスを見つけるのである。
旧来の情報システムのように、効果が確実に見込めない限り投資を承認しない姿勢では、AI活用は進まない。失敗してもいいという寛大な気持ちで社員の挑戦を後抑し、軌道修正のかじ取りをしながら、大きな成功事例を生み出していくことが肝要となる。
2つ目は「アウトソースしない」ことだ。旧来の情報システムは外部のシステム会社に開発を委託するケースが多い。ウォーターフォールによる綿密な計画に基づき、目的や開発内容を明確に定義できるからこそ可能な取り組みだ。一方、AIはアジャイルで開発を進めるので開発内容は時々刻々と変化し、外部委託に向かない。
また、AI導入は業務要件定義フェーズがなく、業務での活用法を探索しながら進めていくので、業務の深い理解が必要となる。そのため、外部の技術者に頼らず、業務を理解した社員にAI技術を学ばせてAI導入のリーダーにすることをお勧めしたい。その教育は外部に頼んでもいいが、最終的に自社でAI活用できることを目指して一時的に知見を借りるというスタンスが重要である。
自社の社員がAI開発できるようになるのか不安に思う経営者もいるだろう。AI技術はオープンソースが基本で、簡単に開発できるサービスが日々生まれており、心配はいらない。社内でAI人材を育て、自社でスピードあるAIの活用を進めてほしい。
違う点 |
|
同じ点 |
|
※本稿は、日経産業新聞2021年3月31日付掲載のコラムを転載したものです。見出しおよび図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本記事は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
マーケットでの競争が激化するなか、成功しているビジネスリーダーは、価値の創出には体験から得られるリターンが不可欠であると認識しています。本レポートでは、顧客と従業員の体験に焦点を当てて企業がとるべき対応策を解説するとともに、日本企業に向けた示唆を紹介します。
顧客とのロイヤルティを育むことは、組織に価値をもたらし、収益性を高めます。本稿では、PwCが実施した顧客ロイヤルティに関する調査からの洞察を紹介するとともに、日本企業が取るべき対応策を解説します。
市場環境やビジネス要求が絶え間なく変化するなか、企業が迅速な対応と高い柔軟性を獲得するには、DevOpsとデータ駆動型アプローチの融合が有効です。本レポートでは、国内外の成功事例を参照し、データ駆動型DevOpsを実現するための具体的なアプローチを紹介します。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。