
カスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスの出会い
マーケットでの競争が激化するなか、成功しているビジネスリーダーは、価値の創出には体験から得られるリターンが不可欠であると認識しています。本レポートでは、顧客と従業員の体験に焦点を当てて企業がとるべき対応策を解説するとともに、日本企業に向けた示唆を紹介します。
2021-08-09
世界のビジネスの戦いの中で、テクノロジーが果たす役割は一段と大きくなっている。しかし、自社の技術をどのように評価するかは、経営者にとって常に悩ましい間題である。これから産業が大きく成長する過程での先進技術なのか、もしくはコスト勝負になっている枯れた技術なのか。様々な要素が複雑に絡むため、この見極めは想像以上に難しい。こうした困難な判断に人工知能(AI)の力を借りる試みが広がっている。
「社長、AIがうちの会社の技術が3年後、世界で1000億円市場を生み出す価値があると言っています」。経営会議でこんな光景が当たり前になる日は遠くないかもしれない。技術特許の調査などにAIを応用するサービスが増えており、経営者が技術的な判断をする有力な武器になりつつある。
その一つが、世昇の技術特許情報をAIで分析し、どこに技術の中心性があり、伸びていくかを分析するサービスである。例えば、自社の技術分野がトレンドとしてどれぐらい注目されているかを分布図で等高度として見ることができる。この結果をみれば、自社で足りない点、今後伸ばしていかなければいけない技術を補完しなければならないことがわかる。
もう一つが、AIで技術特許から未来を予測する取り組みだ。論文、特許などを組み合わせて、産業分野の市場の将来性を示すものである。例えば、過去のトレンドから自社技術がどう展開するかを予測したり、新聞記事などから将来を予測するようなキーワードを抽出して今後の流れをビジュアル化したりすることができる。
さらに進んで、企業の技術を将来の金銭価値(事業価値)として「定量評価」する手法も開発が活発になっている。技術の将来の市場価値がわかると、企業はその技術を軸に事業拡大するのにどんな企業と組むべきか見えるようになる。すでに技術情報と市場情報を結びつけてAIで技術を「定量評価」するツールが登場している。
自社の付加価値を測るには、個別技術だけでなく、複数の技術の組み合わせによる価値や、市場での位置づけなどを考慮する必要がある。これまでもコンサルタントが経営層と技術側の主張を確認しながら、合理的な判断ができる材料を提供してきた。しかし、どこまでいっても俗人的なさじ加減が残り、すり合わせに多くの時間を割いてしまっていた。これを素早く客観的に判断する手助けをAIがしてくれるようになるのだ。
当社の例だが、AIを活用することで、端的に言えばコンサルタントが3カ月かけていたものを2週間程度に短縮できた。AIは、毎年世界で300万件以上生み出されている特許情報を瞬時に解析し、新市場の可能性を網羅的に提示し、人では考え付かない数の連携先候補との事業の可能性などを示すことができる。
研究開発のオープン化、クローズ化が議論されて久しい。どこにその分水嶺を設けるか。企業が持つ技術の価値をAIなどを活用しながら正しく認識することが、その判断の第一歩となり、技術的な競争優位の源泉となる。
1.これまで難しかった数千万以上のデータから技術の定量評価ができる |
2.技術の価値を視覚的にみることができる |
3.自社技術が他からどのように評価され、相乗効果を生むかもわかる |
※本稿は、日経産業新聞2021年4月8日付掲載のコラムを転載したものです。見出しおよび図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本記事は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
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