財務省(BMF)、ミニマム税法(MinBestG)の公開協議草案を公表(オーストリア)

2024-01-23

2023年10月3日、BMFは、グローバルミニマム税(第2の柱)に係る法律の公開協議草案を公表した(協議期間は、2023年10月20日まで)。本新規則は2024年1月1日から発効するとされている。本ミニマム税法は、グローバルミニマムレベル課税に関するEU指令、およびOECDモデルルール(移行期間における執行ガイダンス/セーフハーバー規定を含む)の枠組みを、国内法に置き換えるものである。主なポイントとして、以下が含まれる。

適用範囲 - 過去4会計年度のうち少なくとも2会計年度の純売上高が7億5千万ユーロ以上の大企業グループのみが適用範囲に含まれる(純粋な国内企業グループであるか、多国籍企業グループであるかは問わない)。

トップアップ税の課税 – 15%のグローバルミニマム税には、所得合算ルール(IIR)、および軽課税所得ルール(UTPR)(2025年から適用)、が含まれる。実効税率が15%未満の国内構成事業体について、IIRおよびUTPRの前に、国内トップアップ税(QDMTT)が導入される。これにより、国内の課税ベースが国外の最終親事業体の所在地国・地域に流出することが防止される。一方、本国内トップアップ税により、外国企業グループのオーストリアの構成事業体は、関連するオーストリアのコンプライアンス義務も負うことになる。

セーフハーバー規定 – 執行の簡素化のため、本ミニマム税法には、以下のセーフハーバー規定が含まれている。

  • 国外のQDMTT制度に係るセーフハーバー(軽課税国・地域のビジネスユニットに関して、オーストリアの最終親会社レベルで関係)
  • 移行期間CbCRセーフハーバー(デミニマステスト、実効税率テスト、通常利益テスト)
  • 重要性の低い構成事業体に係るCbCRセーフハーバーの簡易算定

セーフハーバー規定の適用については、国・地域別のアプローチがとられる。セーフハーバーが認められた場合、当該国・地域のトップアップ税額は零に減額され、一般的な枠組みに従って実効税率を算定する必要はなくなる。ただし、第2の柱に係る税務申告書の提出義務などのコンプライアンス義務には影響がない。移行期間CbCRセーフハーバーは、最初の3会計年度(2024年から開始)にのみ適用される。これらのテストにCbCRと財務情報(企業内ですでに利用可能)を利用することで、大幅に簡素化される。

出典:PwC Austria, Austrian Tax News
「月刊 国際税務」2023年12月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修