第2の柱に対応する新たな法人所得税制度に関する公開協議(バミューダ)

2023-11-13

2023年8月8日、第2の柱に対応して、法人所得税(CIT)制度の導入に関する公開協議が開始された(2023年9月8日まで)。今後年内に、より詳細な第2回の公開協議が開催される予定である。本公開協議文書の概要は、以下のとおりである。

CIT制度案

発効 – 2025年1月1日以後に開始する課税年度から適用見込みである。

CITの性質 - グローバル税源浸食防止ルール(GloBEルール)の対象租税となる。

CIT税率 - 9%から15%のCIT税率を検討している(さらなる分析を行う予定)。

適用範囲 – 連結収入7億5千万ユーロ以上の多国籍企業(MNE)グループの構成事業体(CE)(税務上の居住事業体およびバミューダの恒久的施設(PE))に適用される。

  • 税務上の居住事業体 - 原則として、バミューダで設立/組織された事業体を指す(中心的管理・支配の場所により、他国・地域の税務上の居住者になる旨の十分な証拠が示された場合を除く)。
  • PE - バミューダに所在するPE(OECDモデル租税条約第5条の定義)を指す。
  • 適用除外 - 以下の税務上の居住事業体およびバミューダPEは、本CIT制度の対象外になる。

    (i)GloBEルール第1.5条に定義されている除外事業体(最終親事業体(UPE)である政府事業体、非営利団体、年金基金、投資ファンドなど)
    (ii)国際活動の初期段階にあるMNEグループのCEである事業体およびPE(GloBEルール第9.3条に定義)
    (iii)MNEグループのCEである事業体およびPEのうち、UPEが直接/間接に所有する割合(価値ベース)が80%未満であるもの
  • 課税所得 – 税務上の居住事業体の課税対象となる所得/損失は、通常、全世界所得/損失に基づいて算定され、税務調整は主にGloBEルールに従って行われる(ただし、非バミューダPEの課税所得/損失は、税務上の居住事業体の課税所得/損失の計算から除外される可能性がある)。バミューダPEの課税所得/損失の算定には、OECDモデル租税条約第7条の原則が適用される。

クロスボーダーのグループ内取引 - MNEグループのメンバー間のクロスボーダーの取引は、独立企業間価格で行われなければならない。

適格還付可能税額控除(QRTC) – 本CIT制度では、GloBEルールで定義されているQRTCを規定することが見込まれる。QRTCは、バミューダにおける資本投資や研究開発活動の奨励など、バミューダの主要な政策イニシアチブを支援するために策定されよう。

申告単位 - CIT 申告書は、原則、連結ベース(CIT課税対象となるMNEグループのすべての税務上の居住事業体およびバミューダPEを含む)で作成する(ただし、単体ベースも選択可)。

二重課税の救済 - バミューダでの稼得利得に対して、外国税およびバミューダCITの双方課税となる場合、外国税額控除が可能である。さらに、バミューダの利得に対して、他国・地域においてCFC(被支配外国子会社)税制により、直接/間接の親会社に課される支払/未払CFC税額について、外国税額控除を認めることが提案されている。

適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTT)

バミューダは、近い将来にQDMTTを導入する予定はないとしている(第2の柱の所得合算ルール(IIR)や軽課税所得ルール(UTPR)の導入も、本協議文書では示されていない)。

出典:PwC Hong Kong, International Tax News Flash
「月刊 国際税務」2023年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修