2022-11-10
2022年8月7日、左翼連合「Pacto Histórico」のリーダー、グスタボ・ペトロ氏が第61代コロンビア大統領に就任し、行政府は新たな税制改革法案を提出した。政府は、2022年内の可決を見込んでいる。その場合、本法案の規定のほとんどは、2023年1月1日から適用されることになろう(注)。なお、コロンビア議会では現在、野党の議席数は20%以下であるが、大統領の政党単体では議会で過半数を占めていない。そのため本法案は技術的および政治的な観点から議論の対象となることが予想され、一部の条項は、議会審議の過程で変更される可能性がある。
本法案のうち、主要な法人所得税(CIT)措置には以下が含まれる。
国際税務関連では、以下がある。
以上のほか、非居住者への配当金に係る適用源泉税率の10%から20%への引上げ、富裕税の再導入(居住者および非居住者個人に加え、CITを申告していない非居住者である事業体(純資本(net equity) 72,000 Value Tax Units(約 70 万米ドル)超のコロンビア資産(株式、売掛金、ポートフォリオ投資及びその他特定の資産を除く)を有する場合。なお、富裕税は0.5%から1%の累進税率で適用され、CITの控除対象にはならない)、石油・ガス・鉱業関連税制の改正(石油、ガスの生産および鉱業活動に際して支払われる採掘権(いわゆる「ロイヤルティー」)の現行控除の撤廃、石油・ガス・鉱業法人に対する還付納税証明書(CERT)の廃止、石油・鉱業に対する経過的な5年間の定額償却控除の撤廃、炭素税の適用範囲の拡大(一般炭の販売、輸入、回収を含め(輸出は免除のまま)、2028年度までに52,215コロンビアペソ/トン(約12.5米ドル/トン)まで税率を段階的に引上げ)、原油・炭素・金の輸出に適用される月額10%の輸出税を導入(一定の閾値あり))、「グリーン」関連税制の導入(包装用の使い捨てプラスチック製品への課税(課税標準は、使い捨てのプラスチック容器または包装のグラム単位の重量)、超加工甘味飲料の消費に対する課税(適用税率は、飲料100mlあたりの糖分含有量によって異なり、1製品あたり最高35コロンビアペソの税額)、糖分を多く含む超加工食品の消費に対する課税)や、祖父条項(提案された法律により段階的に廃止される税制上の優遇措置や恩典を享受している納税者に適用)の採用がある。
(注) 2022年8月5日、日本・コロンビア租税条約(2018年12月19日署名)を発効させるための外交上の公文の交換が行われた。本条約は、2022年9月4日に効力を生じ、コロンビアでは、源泉徴収される租税に関しては2023年1月1日以後に支払われ又は貸記される額、その他の全ての租税に関しては2023年1月1日以後に開始する各課税年度から適用される。(Source: 財務省website)
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修