EU加盟国が第2の柱の指令案を最終承認(EU)

2023-03-08

2022年12月15日、EU理事会は、EUミニマム課税指令を一定の手続き(written procedure)で正式採択した。ハンガリーが最終投票を棄権し、スウェーデンが特定の条項について書面による所見を提出(注1)したものの、全会一致で採択された。本指令は、欧州連合官報への掲載の翌日に発効する。加盟国は、2023年12月31日までに、本指令を自国の国内法に取り込まなければならない。これにより、EUは、正式に第2の柱のミニマム課税規定を採択した最初のブロックとなった。今後、他国・地域も追随する可能性が極めて高いとみられる(注2)

(注1)第1の柱の実施に係る部分(最新妥協案(2022年11月25日付)第57条関連。欧州委員会に対して、OECD/G20レベルで第1の柱の実施をモニターし、2023年6月30日までにEU理事会(議長国: スウェーデン)への報告書提出を求めている(第1の柱がグローバルレベルで実施されない場合、第1の柱に係る税制上の課題に対処するための立法案提出を想定)。

(注2)日本では、2022年12月16日、グローバル・ミニマム課税への対応(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の創設等)(2024年4月1日以後開始課税対象会計年度からIIR(所得合算ルール)を適用)を盛り込んだ、令和5年度与党税制改正大綱(2022年12月23日に閣議決定)が公表された。韓国では、2022年12月23日、国会で第2の柱の法案(本誌2022年9月号参照)が可決された。IIRとUTPR(軽課税所得ルール)を2024年1月1日以降開始事業年度から適用する(QDMTT(適格国内ミニマム課税)は含まれていない)。2023年2月に公表予定の大統領令および施行規則で制度の詳細が明らかになる見込みである。

本指令の採択で米国との緊張が高まる可能性

2022年12月14日、米国議会共和党の上下院議員32名が、財務長官に対し、他国による米国法人に係るUTPR課税を阻止する必要がある旨の書簡を提出し、超党派で解決策を見出すよう求めている。

出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2023年2月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修