第2の柱に係る政府案の公表(フィンランド)

2023-11-13

2023年8月15日、第2の柱に係る政府案が公表された(2023年9月8日までコメント募集)。本政府案では、所得合算ルール(IIR)、軽課税所得ルール(UTPR)、および適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTT)が導入される。IIRとQDMTTは2023年12月31日以後に開始する会計年度から、UTPRは2024年12月31日以後に開始する会計年度から適用される。なお、QDMTTルールの詳細は、別の提案で取り上げられる予定である(QDMTTの計算ルールは、IIR・UTPRの計算ルールに忠実に従うべきとしている)。本政府案は、EU指令とGloBEモデルルールに忠実に従っている。さらに、OECDの(既存および将来の)ガイダンスが、グローバルでの調和のとれた実施のための中心的役割を果たし、各国・地域間の解釈の相違を避けるための鍵であることが、明確に認識されている。一方、本政府案では、OECDが2023年2月に公表した執行ガイダンスの一部のみが反映され、2023年7月公表の執行ガイダンスは取り込まれていない。さらに、移行期CbCRセーフハーバールールは含まれているが、移行期ペナルティー救済ルールは含まれていない。なお、フィンランドの憲法において、税法は、納税者の税額計算に係る十分なレベルの詳細な記述を含めるべきで、解釈の余地を残すべきでないと定めている。このような憲法上の制限により、OECDガイダンスに基づく特定ルールが、フィンランドの第2の柱に係る法律から逸脱している場合、その適用に関して不確実性が生じる可能性がある。

出典:PwC, International Tax News
「月刊 国際税務」2023年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修