FSIE制度の修正法案を公表(香港)

2023-02-09

2022年10月28日、政府は、特定外国源泉所得課税に関する2022年修正法案を公表した。本法案では、利子、配当、エクイティ持分の処分益、知的財産(IP)所得の4種類の国外所得(特定外国源泉所得)に係る外国源泉所得免除(FSIE)制度が大幅に修正される。本法案は2023年1月1日に発効する見込みである。内国歳入局(IRD)はまた、FAQ、設例、提案されている経済実体要件への準拠に係る当局意見の申請手続きなど、修正FSIE制度に関する執行ガイダンスを専用のウェブページで公表している。

本法案には、当初提案(本誌2022年9月号参照)と比較して、以下を含む変更がある。

  1. 特定の所得と納税者をFSIE制度から除外 – 対象所得について、規制対象金融機関(認可保険会社や銀行など)の規制対象事業に係る利子、配当、および処分益を除外。対象納税者は、香港で事業等を営む多国籍企業の事業体(香港居住多国籍企業事業体の外国恒久的施設(支店等)を除く)。OECD第2の柱のGloBEルールに類似した方法で除外事業体を定義し、一定の修正を加えている(非課税ファンドや実体活動要件を満たす優遇税制の恩典を受ける事業体も除外事業体に該当するが、除外事業体が95%保有する投資/補助的ビークルは明示なし)。
  2. 資本参加免税の要件における50%の受動的所得テストを12か月(5%以上)の保有期間テストに置き換え
  3. スイッチオーバー規定における課税対象要件の適用にルックスルーアプローチを導入(実効税率15%の判定上、最大5階層の投資先事業体を考慮)
  4. 研究開発(R&D)活動の地理的制限を緩和、ネクサス要件の下で納税者が香港外で行ったR&D活動も対象
  5. 片務的税額控除の下で、配当に係る外国税についてルックスルーアプローチを導入(最大5階層、10%以上直接・間接保有)

本法案は、EU(欧州連合)による最終合意(税務上協力的な国・地域の観点)が必要で、香港特別行政区立法会(LegCo)で審査される。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2023年1月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修