第2の柱のミニマム税実施に係るコンサルテーション(アイルランド)

2022-08-05

2022年5月26日、財務省は、第2の柱のミニマム税実施に係るコンサルテーション文書を公表した(2022年7月22日までコメント募集)。第2の柱の枠組みは、財政、予算、産業政策全体に大きな影響を与えるため、第2の柱の国内法への取り込みに関する利害関係者の意見を求め、課題を検討するとしている。全部で25の質問があり、その他の関連論点についてもコメントを求めている。特にアイルランドで事業を行う米国系多国籍企業の重要性に関連して、米国の法人税改正案のアイルランド税法への影響に関して考慮すべき特定の問題についてもコメントを求めている。また、法人税法上の税額控除条項と適格還付税額控除(Qualified Refundable Tax Credit)との相互作用や、租税条約特典否認ルール(STTR)適用と国内法改正の必要性についてもコメントを求めている(注1)。なお、アイルランドの法人税率(12.5%)がミニマム実効税率(15%)を下回っていることから、第2の柱実施プロセスの一環として、適格国内トップアップ税(QDTUT: Qualified Domestic Top-Up Tax)を導入する可能性は非常に高いとしている。EUの第2の柱の指令案の最終テキストはまだすべての加盟国によって合意されていない(注2)が、アイルランドは本提案を支持しており、2023年末までに加盟国が本指令を国内法に取り込み、運用開始することを見込んでいる。

(注1)アイルランドのR&D税制およびKnowledge Development Box(KDB)について、2022年5月30日まで、別途のパブリックコンサルテーションが開催された。R&D税制については、EU国家補助(State aid)や多国間・各国地域の国際税務動向を踏まえたコメント、また、KDBについては、STTRや修正ネクサスアプローチ(BEPS行動5)を考慮してのコメントが求められた

(注2)2022年6月17日のECOFINでは、2022年6月16日付の3訂版テキストにつき、ポーランドが合意に転じたものの、ハンガリーが留保し、全会一致には至らなかった(6月中の合意を模索。次のECOFINは7月12日予定)。なお、2022年6月14日、英国財務省は、「第2の柱」の法律を、2023年12月31日以後開始会計期間から適用する旨公表している(夏に法案公表の見込み)

出典:Government of Ireland website
「月刊 国際税務」2022年7月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修