2024年1月1日にMLI発効(メキシコ)

2023-06-14

2024年1月1日にMLI発効(メキシコ)

2023年3月15日、メキシコは、BEPS防止措置実施条約(MLI)の批准書をOECDに寄託した(2022年10月12日に上院可決、2022年11月22日に官報掲載)。MLIは、2023年7月1日に発効し、全てのメキシコ税務目的上は、2024年1月1日に発効する。メキシコは、MLI原署名国であり、2017年7月7日の調印式に参加している。MLIには、いくつかのミニマムスタンダードがあり、第6条(対象租税協定の目的)や、第7条(条約の濫用の防止)(いずれも、BEPS行動6(租税条約の濫用防止)関連)も含まれる。これらの規定のほとんどは、条約の前文、および主要目的テスト(PPT)の規定の修正により取り込まれる。源泉税(利子、使用料、配当)およびその他の税(譲渡所得、恒久的施設)に係る対象租税協定の全条項について、2024年1月1日以後、すでに批准・寄託している締約国との間でその影響が及ぶことになる。55の対象租税協定(注1)のうち、48(日本を含む)はすでに批准・寄託されており、2024年1月1日よりMLIが適用される。(注2)

(注1) アルゼンチン、コロンビア、イタリア、ジャマイカ、クウェート、ペルー、トルコとの条約については、まだMLIの批准・寄託手続きが完了していない。

(注2) メキシコには、一般的租税回避防止規定(GAAR)もあり、納税者が合理的に期待される経済的恩典よりも大きな税務上の恩典(軽減、除去、繰延)を得る場合、税務当局は事業上の目的を伴わない取引を再構成することができる。合理的に期待される経済的恩典は、納税者の取引が、所得稼得、コスト削減、資産価値向上、市場での地位向上等を意図している場合に存在する。さらに、より少ないステップで同様の経済的恩典を達成できるものの、課税額がより多くなっていたとみられる場合、税務当局は、事業上の理由の欠如を主張できる。なお、現時点では、PPTおよびGAARに関する判例や、これらの明確/補足的な定義はほとんどないとされる。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2023年5月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修