2023年予算(ノルウェー)

2023-01-12

2022年10月6日、ノルウェーの国家予算が公表された。
法人税関連では、以下の改正が含まれる。

75万クローネ超の給与所得に対する5%の追加雇用主負担金

雇用主は、給与およびその他の手当にかかる雇用主負担金を支払う義務がある。雇用主負担率は、雇用主の所在地によって異なる(税率0%~14.1%)。政府は、75万クローネ超の給与に対して5%の追加雇用主負担を提案している。国の中心地(ゾーン1)の雇用者は、75万クローネ超の賃金に対して19.1%(14.1+5)の雇用者負担金を支払わなければならない。本改正は、2023所得年度からの施行が提案されている。雇用者負担金を含めると、最高税率は2022年の53.9%から2023年には55.8%に上昇する(2023年に約77億クローネの歳入増見込み)。

クロスボーダーの組織再編における継続性要件の撤廃

財務省は、クロスボーダー組織再編における継続性要件の廃止を提案している。規定の簡素化で、クロスボーダー組織再編の実行・管理が容易になる。現在、クロスボーダーの合併、会社分割、株式交換について、一定要件の下で非課税の組織再編を規定しており、その中心的な要件は、その取引が国内および国外で税務上の継続性をもって行われることである。改正後は、クロスボーダー組織再編について、ノルウェーの参加者の税務手続きは、国内における税務ポジションの継続性原則、および出国税規定によって確保される。本改正は、2022年からの施行が提案されている。
以上のほか、石油セクター関連の暫定規定に基づく追加控除(uplift)率の12.4%への引き下げ(2023年1月1日以後の発生コストから)や、天然資源関連所得(陸上風力・水力発電)の課税強化(リソースレントタックスや消費税(0.70クローネ/kWh超での電力販売)などがある。
個人・給与税関連では、配当および株式譲渡益の税率引き上げ(2022年10月6日から。税率22%は変わらないが、調整係数1.60→1.72への引き上げにより実効税率は35.2%→37.84%(法人税率(22%)を含めた最高実効税率は49.5%→51.5%)などや、富裕税の増税(課税ベースおよび税率改正)、社会保険税率の改正などがある。付加価値税(VAT)関連では、電気自動車に対するVAT免税措置の改正(2023年1月から)や、電子ニュースサービスのVAT免税廃止(2023年1月1日から)などがある。
なお、国際企業グループ課税(OECD第1・第2の柱)について、2023年中に規定整備、2024年からの施行を目指している。
このほか、トン数税制の改正や、外国人・外国法人への大陸棚での活動に係る課税についても検討を進めている。

出典:PwC, Norway’s Tax blog
「月刊 国際税務」2022年12月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修