第2の柱 - GloBE情報申告に係るコンサルテーションを公表(OECD)

2023-03-08

2022年12月20日、第2の柱のGloBE情報申告(GIR)に関する公開協議文書(コメント期限:2023年2月3日)が公表された(本文書は、OECD事務局作業のみによる協議文書(包摂的枠組み(IF)で未合意)である)。GloBEルールを導入している各国・地域における標準化されたGIRでの報告内容は、データポイントに係るものが中心で、これらはGIRのAnnex Aに以下の通り記載されている(最終版ではない点に留意)。なお、GIRは、法人税等の申告とは別個のものである。

  1. 構成会社等とその所在地国・地域の特定
  2. 多国籍企業グループの全体的な法人組織図
  3. 国・地域別実効税率(ETR)の計算上必要な情報(国・地域レベル、および法人レベルのデータ)
  4. 各構成会社等および共同支配会社(JV)グループ会社等に対する最低課税額(トップアップ税額)
  5. 最低課税額のIIR(所得合算ルール)とUTPR(軽課税所得ルール)への配分
  6. いずれもの選択に係る記録

これによると、例えば、各国・地域に係るETR計算では、構成会社等ベースでの極めて詳細な情報が必要となる。GIRで数万件の追加データポイントの収集が必要になるとの企業サイドの声もある(財務会計純損益(FANIL)(Annex A 1の3.4.1(a))で求められる各構成会社等レベルの報告だけでも最大24項目の加減算)。また、再計算が必要な場合(モデルルール第4.6.1条および第5.4.1条関連)、修正申告も必要となろう。本公開協議文書と同日にOECDが公表した「適用免除基準と罰則等の免除に関するガイダンス」に「経過的な罰則等の免除制度」が含まれているが、これは一時的な措置である(注)。なお、GIRは、報告対象年度の末日から15か月以内(初年度は経過措置で18か月以内)に提出する必要がある(モデルルール第8.1.6条(第9.4.1条))。

(注)令和5年度税制改正大綱(2022年12月23日に閣議決定)でも、「情報申告制度の創設」が盛り込まれている。報告内容は、構成会社等の名称、所在地国ごとの国別実効税率、グループ国際最低課税額その他必要な事項及び適用除外基準の適用を受けようとする旨等とされている。なお、特定多国籍企業グループ等報告事項等の不提供及び虚偽報告に対する罰則を設ける、としている。

出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2023年2月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修