BEPS行動13の国別報告の見直し – コンサルテーションとヒアリング(OECD)

2020-07-05

OECDは、2020年に評価を行うとされている2015年BEPS最終報告のマンデート(mandate)に基づき、BEPS行動13の国別報告(CbCR)に係る見直しを、最近開始した。CbCRは、BEPSの包摂的枠組み(IF)参加メンバーのミニマムスタンダードであり、これにより、すべての大規模多国籍企業(MNEs)は、グローバルの所得配分、利得、支払い税額、および活動する税法域間での経済活動の統合データとともに、CbC報告書の作成が求められる。CbC報告書は、ハイレベルの移転価格およびBEPSリスクの評価に使用するために、これらの法域の税務当局と共有される。最初のCbCRの報告要件は、いくつかの法域では2016年に発効しており、対象となる多国籍企業と税務当局は、この複雑な報告の枠組みについて、数年の経験しかない。

本見直しの結果、第6作業部会(移転価格)および第10作業部会(情報交換)は、コンサルテーション文書の策定のために共同作業を行った。2020年2月にパブリックコメントのために公表され、様々な利害関係グループから約80のコメント提出を受けている。2020年3月に予定されていた最初の公聴会(public hearing)は、コロナウイルス・パンデミックにより延期され、2日間のバーチャルの公聴会が2020年5月12日と13日に開催された。

本パブリックコンサルテーション文書では、3つの主要な見直し分野として、(i)全般的な実施上の懸念事項、(ii)CbCRの対象範囲に関する論点、(iii)CbC報告書の内容に関する論点、を示している。本文書の実施部分に係る主要なフォーカスには、これらの報告書を適切かつ効果的に利用すること、が含まれる。2015年の行動13に係るコンセンサスの基本は、CbCRを、法人の移転価格およびその他のBEPS関連リスクに係るハイレベルのリスク評価のツールとして限定することであり、CbCRは、個別の取引および価格の詳細な移転価格分析の代替ではなく、これらは、十分な機能および比較可能性分析に基づいて行われる必要があろう、と明確に示されていた。

本包摂的枠組みでは、2020年末までにCbCRの枠組み改正の可能性がある提案の策定をする予定であり、CbC報告書の報告、交換および利用から生じる執行上の課題について、各国税務当局とともに引き続き作業を行う。政治家と市民社会がCbCデータを公開させるよう取り組みを継続しており、また、包摂的枠組みにおいては、デジタル経済から生じる課税問題に関する一致した解決の試みが改善されているなかで、本作業は今後の展開が見込まれる。

 

出典:PwC, Tax Policy Bulletin
「月刊 国際税務」 2020年7月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修