第1の柱(利益A)税の安定性に関するパブリックコンサルテーション文書を公表(OECD)

2022-08-05

第1の柱(利益A)税の安定性に関するパブリックコンサルテーション文書を公表(OECD)

2022年5月27日、OECDは、「利益Aに係る税の安定性フレームワーク」、および「利益A関連諸問題に係る税の安定性」に関するパブリックコンサルテーション(公開協議)文書を公表した(いずれも、2022年6月10日までコメント募集)。これは、第1の柱(利益A)に関する一連のコンサルテーションの第6回、および第7回である(注)。「税の安定性フレームワークに関する協議文書」には、新たな第1の柱モデルルールに関して以下の目的があると説明されており、また、多くの要素が含まれる。

(i)企業グループに安定性を提供

(ii)各国地域が一方的な行動をとるリスクを最小限に抑制

(iii)潜在的な二重課税の排除

適用範囲の安定性レビュー – 適用範囲外のグループに、一定期間、利益Aのルール範囲外という安定性を提供し、一方的なコンプライアンスアクションのリスクを排除

事前の安定性レビュー - 将来の複数期間に適用される、利益A固有の新ルールの特定側面(レベニューソーシング等)を適用するにあたって、グループの手法に対する安定性を提供

包括的な安定性レビュー – 事前の安定性の結果に基づき、終了期間における新ルールの全側面の適用に関し、拘束力ある多国間レベルの安定性を適用範囲内のグループに提供

これら3要素はすべて、生じる不一致を解決するための拘束力あるプロセスでサポートされる。

「利益A関連諸問題に係る税の安定性に関する公開協議文書」には、権限のある当局が、相互協議(MAP)では解決できない諸問題、特に移転価格と恒久的施設の利得帰属紛争を解決するために使用される、義務的で拘束力あるメカニズムの規定案が含まれている。なお、このメカニズムは、一定の途上国にとっては選択的規定となる可能性がある。

現時点では、これらの文書はOECD事務局の作業によるものであり、包摂的枠組み(IF)ではまだ承認されていないため、協議プロセスと関係なく、変更される可能性があるとしている。本文書では、デジタル経済に関するタスクフォース(TFDE)で検討中の多くの未解決の論点を具体的に特定し、利害関係者からの意見を募集した。

(注)第1回は「レベニューソーシングとネクサス」、第2回は「課税ベースの算定」(いずれも、本誌4月号参照)、第3回は「適用範囲」(本誌5月号参照)、第4回は「採掘業の除外」、第5回は「規制対象金融サービスの適用範囲除外」(いずれも、本誌6月号参照)

出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2022年7月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修