2023年予算案(ポルトガル)

2023-01-12

2022年10月10日、2023年予算案が議会に提出された。これは、1月の選挙後6月に公表された2022 年予算に続くものである。政権政党が議会で過半数を占めており、税制措置案は制定されると見込まれるが、今後の政党間交渉や官民の関連機関・団体のヒアリングを経て、修正や新たな税制措置の追加の可能性がある。

法人税の改正 – 欠損金

欠損金の繰越は、無期限に認められよう(現在は5年(中小企業は12年))。本規定は、2023年1月1日以後開始課税年度の課税利得に対する税務上の欠損金の控除に適用されよう(2023年1月1日前の課税年度に査定され、控除期間が依然継続している税務上の欠損金にも適用)。税務上の欠損金の控除は、課税利得の65%(現在は70%)に減額されよう。

法人向け優遇税制および支援策

法人の資本化に係るインセンティブ

本予算では、法人の資本化を目的とした新しい税制優遇措置を提案している。適格法人は、適格資本の純増額の4.5%相当額を控除できる。本控除は、資本が増加する課税年度と、それに続く9課税期間に適用されよう。本控除は、各課税年度において、2百万ユーロまたは税務上のEBITDAの30%のいずれか高い額までとなろう。税務上のEBITDAの30%を超える部分は、5年間繰り越すことができる。法人設立や増資時の現金出資、資本への転換となる債務の現物出資、証券発行のプレミアムや資本増となる税務上の利得が適格資本の純増となる(現金/現物の資本減少分は控除)。この新たな税制上の優遇措置が承認された場合、既存の2税制優遇措置(一定の資本報酬/みなし利子控除(2022年12月31日まで引き続き適用)および中小企業向け留保・再投資利得控除(DLRR))は廃止されよう。

電気・ガス費用に係る特別支援

電気・天然ガスの消費に関連して発生/負担した費用・損失で、前課税年度を超える額(資金受領額を控除)について、2022年の法人税課税利得の計算上、それぞれの額の120%の控除が可能となろう。なお、電力・ガスの生産、輸送、流通、商業化、または精製/残留物から得られる石油製品その他の特許燃料の製造に関連する経済活動による売上が50%以上の納税者は除外される。
以上のほか、法人および個人の暗号資産関連の税制改正がある。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年12月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修