2023年度予算(シンガポール)

2023-05-11

2023年2月14日、ローレンス・ウォン副首相兼財務大臣は、2023年度予算を国会に提示した。2025年1月1日以後開始会計年度から、対象事業者に対して、GloBEルールおよび国内ミニマムトップアップ税(DTT)を実施する予定であるとしている(注)。一方で、イノベーションを促進するための適格な活動に取り組む企業に対する追加所得控除を強化する新たな企業革新スキーム(EIS)の導入などもある。2024賦課年度(YA)以降(2028賦課年度まで)、研究開発(R&D)、イノベーション、能力開発活動に取り組む企業は、適格活動に係る5つのカテゴリーの費用/支出(1. シンガポールで実施される適格R&Dプロジェクトに係る人件費・消耗品費、2. 知的財産権登録に係る適格費用、3. 知的財産権の取得・ライセンス関連、4. 適格訓練費、5. ポリテクニック、技術教育研究所その他の適格なパートナーとともに実施するイノベーションプロジェクト関連)に対して、最大400%(現在は100%/250%)の所得控除を受けられるようになる(現金による受領のオプションもあり)。

(注)第2の柱導入の動きはその他の国・地域でもみられている。例えば、香港では、2023年2月22日公表の2023/24年度予算の中で、2025年から15%のグローバルミニマム税および国内ミニマムトップアップ税を実施(コンサルテーションも開催)予定としている(年間約150億ドルの税収見込み)。南アフリカでは、2023年2月22日公表予算の中で、第2の柱を2025年から実施(2023年にコンサルテーションを開催、2024年に税法改正案を提出)予定としている。また、カタールでは、2023年2月2日、2018年所得税法第24号のいくつかの条項を改正する2022年法律第11号を官報掲載し(2023年2月2日から適用)、そのなかで、グローバルミニマム税の導入に取り組んでいることを強調している(詳細は、税法に係る施行規則でカバーされる)。バミューダでは、2023年2月17日公表の予算案の中で、2023年第2四半期に第2の柱の提案を行う予定としている。なお、バミューダには、2035年まで所得税が免除される免税法人が8千社あるとしている。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2023年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修