2024年1月1日にQDMTTを実施、IIRとUTPRの実施は延期(スイス)

2024-03-13

2023年12月22日、連邦政府(Federal Council)は、国際的な動向(注1)を考慮し、2024年1月1日以後に開始する会計年度からQDMTT(適格国内ミニマムトップアップ税)を第一段階として実施することを決定した。IIR(所得合算ルール)とUTPR(軽課税所得ルール)については、実施を延期し、後日決定することとした(注2)。なお、同日、連邦政府は、第2の柱の導入に係る関連法令も公表した。本法令によれば、一定の条件を満たせば、QDMTTの計算にスイスの会計基準(Swiss GAAP FER)を使用できる。

(注1)各国・地域における第2の柱の規定の国内法制化の状況について、米国、中国、インド、ブラジルなどでは、当面、グローバルミニマム税を導入しないとしている。なお、EU加盟国において、第2の柱に係るEU理事会指令(2022年11月25日付)の第50条(1)では、適用対象グループの最終親事業体が12以下である加盟国は、2023年12月31日から始まる連続する6会計年度について、IIRおよびUTPRを適用しないことを選択できるとしている(2023年12月31日までに欧州委員会に通知が必要)。欧州委員会の公表によると、ラトビア、リトアニア、マルタ、エストニア、スロバキアが本措置の適用を選択している(2023年12月12日時点)。一方、EU非加盟国のノルウェーでは、2023年11月24日、財務省が、IIRおよびDMTTの実施(2024年1月1日から。UTPRは2025年からの見込み)に係る新たな国内法案を提示している(2023年6月6日のコンサルテーション時とは異なり、既存法とは別の法律となる予定)。なお、DMTTは、ジョイントベンチャーにも適用予定であり、またノルウェーに拠点がある外資系多国籍企業グループはDMTTに係るセーフハーバーの適用を受けられることが提示されている。

(注2)スイスの多国籍企業の子会社レベルでIIRが適用される可能性はある。

出典:PwC, Tax Insights / International Tax News
「月刊 国際税務」2024年2月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修