米国、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づくカナダのデジタルサービス税(DST)に関する協議を要請(米国/カナダ)

2025-01-09

2024年8月30日、米国通商代表部(USTR)はプレスリリースを公表し、カナダが最近制定したDST(2024年6月28日発効)に関して、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき、米国がカナダとの紛争解決協議を要請したことを明らかにした。このDST(税率3%、年間グローバル売上の閾値7億5千万ユーロ、カナダのデジタルサービス売上の閾値2千万カナダドル)は、オンラインマーケットプレイス、ターゲット広告、ソーシャルメディアプラットフォーム、ユーザーデータからの収益を対象としている(最初の納付期限は、2025年6月30日で、30億カナダドル超(主として米国法人から)の税収見込み)。USTRは本協議要請の中で、カナダのDSTは米国企業を差別している(USMCAの関連規定に違反する)と主張している。なお、本協議が75日以内に解決できなかった場合、米国はUSMCA第31章に基づき紛争解決パネルの設置を要求することができ、拘束力のある決定が下される可能性がある。パネルが米国の立場を支持する裁定を下し、カナダがその裁定に従わない場合、米国はカナダからの輸入品に対する関税引き上げなどの報復措置を取る可能性がある。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年11月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

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