2024-03-13
2023年12月11日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、Notice 2023-80を公表し、GloBEモデルルールに記載されている特定種類の税に係る外国税額控除(FTC)および関連規定、並びに二重欠損金(DCL)規定(内国歳入法(IRC)Section 1503(d))の適用について、規則案を公表する意向を表明した(2024年2月9日までコメント募集)。併せて、本Noticeでは、Notice 2023-55(2023年7月21日公表)で示された暫定的なFTC救済措置(Section 901、903関連。本誌2023年9月号参照)について、本措置を撤回/改正するNoticeやその他のガイダンスの公表日(またはその後の指定日)までその適用を延長するほか、パートナーシップとそのパートナーへの本救済措置の適用に言及している。
本Noticeでは、所得合算ルール(IIRs)、軽課税所得ルール(UTPRs)、適格国内ミニマムトップアップ税(QDMTTs)など、特定の税の取扱いに対応する規定について解説している。
財務省およびIRSは、以下の点に関して、本ガイダンスに沿った規則案を公表予定である。
さらに、財務省およびIRSは、QDMTTの適用により、代替税(in-lieu-of tax)が控除対象外となるようなことが生じないよう、非重複要件(規則1.903-1(c)(1)(ii))を改正する予定である。今後公表予定の規則案では、本Notice(2023年12月11日後に終了する課税年度に適用)で示された規定と一貫性のあるものを規定する予定である。納税者は、2023年12月11日後、連邦官報に規則案が公表される日以前に終了する課税年度について、GloBEモデルルールとFTCに関して本Noticeで示されたガイダンスに依拠できる(継続適用が要件)。さらに、2021年12月28日以後に開始し、2023年12月11日以前に終了する課税年度について、納税者は、代替税の非重複要件に関するガイダンスに依拠できる。
財務省およびIRSは、DCL規定のGloBEモデルルールへの適用範囲を検討している(国・地域別の合算に伴う外国でのDCL使用の程度、GloBEモデルルールが適用されなければ外国所得税が課されないような事業体に係る二重居住法人/ハイブリッド事業体への該当性(規則1.1503(d)-1(b)(2)、(3)関連)、透明事業体への非該当性(規則1.1503(d)-1(b)(16)関連)など)。また、他の規定(ハイブリッド防止規定(Section 245A(e)、267A))とGloBEモデルルールとの相互関係などについても同様の論点を検討している。財務省およびIRSは、2023年12月31日以前に終了する課税年度等において発生したDCL(旧DCL)に関する規制案を公表する予定である。本規定案によれば、旧DCLを構成する控除や損失の全部または一部が、特定の国・地域のGloBE純所得算定上考慮されるという理由だけでは、旧DCLに関して、外国で使用されたとはされないであろう(国・地域別トップアップ税を軽減する目的で発生・増額される場合等を除く)。納税者は、規則案が連邦官報に掲載されるまで、今回のガイダンスに依拠できる。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2024年2月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修