外国税額控除規則案(米国)

2023-02-09

2022年11月18日、財務省とIRSは、外国税額控除規則案(2022 Foreign Tax Credit (FTC) proposed regulations)を公表し、連邦官報(87 FR 71,271 (Nov. 22, 2022))に掲載された(2022年1月23日までコメント募集)。本規制は、コスト回収要件(重要なコスト・費用(資本的支出、利子、賃料、ロイヤルティー、賃金またはその他のサービスに係る支払い、試験研究に関するコスト・費用は常に重要)の各項目の「実質的に全て」のみの回収を求めるよう緩和)、ロイヤルティー支払に係る源泉税の帰属要件(債務者の国内のみでの使用ライセンスについて、債務者主義を(米国法の使用地主義ではないが)容認)(注1)、外国税の配分・配賦に係る資産の再帰属を取り扱っている。納税者は、一貫性のルールに従って、2022年1月4日に確定した規則(2021年FTC最終規則)(本誌2022年3月号参照)の修正条項の対象となったすべての外国税の取り扱いを決定する際、本規則案により、あるいは確定後の規則に依拠できる。本規則案では、2021年FTC最終規則を修正し、今夏(2022年7月27日)公表された修正条項では小幅な緩和にとどまった厳しい税額控除要件の一部をさらに緩和する。本規則案では、各国の所得税法の多様性を考慮している。上述のコスト回収要件に係る25%セーフハーバー(注2)の適用により、ドイツの営業税(20万ユーロ超の金融コストの25%を課税所得に加算)は外国税額控除の対象となるとみられる。

(注1)米国内でのサービスに係る外国源泉税(債務者主義)は、引き続き外国税額控除の対象にならないであろう。たとえば、ブラジルでは、米国法人がブラジル企業のために米国内で提供したサービスに対する支払いに15%の源泉税がかかる(米国ブラジル間の租税条約はない)が、これは外国税額控除の対象にならないであろう。
(注2)売上/総収入の15%以下、または一定の課税所得の30%以下の控除制限にもセーフハーバーが認められよう。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2023年1月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修