インフラ計画および法人税増税案(米国)

2021-05-05

2021年3月31日、バイデン大統領は、ピッツバーグで、インフラやその他の支出イニシアチブに焦点を当てた2兆ドルの計画(“American Jobs Plan'')を公表した。ホワイトハウスは、大統領の発言に先立ち、具体的なインフラ提案とその財源となる法人税増税の概要を発表した。

American Jobs Planには、クリーンエネルギーと国内製造に対する税制上の優遇措置が含まれ、“Made in America Tax Plan”には、法人税の引き上げ提案が含まれている。ホワイトハウスの要約によると、Made in America Tax Planは、インフラパッケージの“支払い以上”に、15年間で2兆ドルを超える連邦歳入を増やし、連邦予算の赤字を削減するとしている。法人税増税の提案には、法人所得税率の28%への引き上げと、米国の国際税法に関するいくつかの改正案が含まれている。

公表されたインフラと法人税の増税計画は、大統領選挙中に発表された大統領の“Build Back Better”計画の重要な要素を反映している。ホワイトハウスの記者会見で、行政当局は、高所得者に影響を与える増税案が、育児・教育・医療へのアクセス拡大、および対象を絞った個人の税軽減措置に係る支出の増加に関する大統領のキャンペーン提案の他の部分のコストを埋め合わせるために提案される、とした。

本法人税増税案には次の提案が含まれている。

  • 法人税率の21%から28%への引き上げ
  • GILTI (global intangible low-taxed income)税率の21%への引き上げ、国別ベースでのGILTIの適用、適格事業資産投資(QBAI)に係る10%控除の廃止
  • 強力なミニマム税率を採用していない国に本拠を置く外国企業が利得を米国から剥離するのを可能とする支払いについての一定控除の否認

本提案では、BEAT (base erosion and anti-abusive tax) を、外国利得に係るミニマム税を有さない国に拠点を置く企業への支払いをターゲットとする規定に置き換えるもようである。これは、OECDのデジタルプロジェクト提案との整合性を考慮している可能性がある。また、FDII (foreign derived intangible income) に係る控除の撤廃、特別の大企業の会計上利益に係る15%のミニマム税の課税等も含まれている。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」 2021年5月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修