IRS、外国税額控除の暫定的な救済措置を公表(米国)

2023-10-17

2023年7月21日、財務省とIRS(内国歳入庁)は、Notice 2023-55を発出した。本Noticeは、2021年12月28日以後開始、2023年12月31日以前終了課税年度におけるSection 901またはSection 903に基づく外国税額控除適用可否の判断にあたり、納税者に暫定的な救済措置を与えるものである。本救済期間中、一定の一貫性(consistency)要件を満たす納税者は、Section 901に基づく旧規則(純所得税関係)(注1)およびSection 903に基づく改正規則(「代替」(‘in lieu of’)税関係)(注2)に規定された基準に基づき、外国税の控除可能性を判断できる。財務省とIRSは、2022年1月4日に公表されたSection 901およびSection 903に係る最終規則(T.D. 9959)(本誌2022年3月号(および2023年1月号)参照)に関する課題の分析を続けており、これらの規則の改正提案を検討している。財務省とIRSはまた、本救済期間を超えて追加の暫定的な救済を行うかどうか、またどのような条件のもとでこれを行うかを検討中である。

これらの変更により、納税者は、本最終規則で公布された帰属要件や、より厳しいコスト回収要件を満たすことなく、外国所得税・代替税の控除可能性を判断できる。本救済措置により、ブラジルの法人税、サービスやロイヤルティーに係る源泉税、非居住者キャピタルゲイン税などに係る外国税額控除について、納税者有利になるとみられる。本救済措置は、暦年の場合、2022年および2023年(暦年以外は2023年終了年度)に適用される。

(注1)グロスベース税(給与所得や投資所得に係る税を除く)やデジタルサービス税(DST)が外国の純所得税適格とならないように若干修正されている。

(注2)本Noticeによると、代替要件により、課税国・地域の純所得税の課税標準に含まれるいかなる金額とも重複しないことが求められるため、外国の純所得税が課される可能性がある所得に適用される一定のDSTsは税額控除不可となるが、これらのDSTsについて、税額控除要件に係る更なる分析が必要である。

出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2023年9月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修