{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.title}}
{{item.text}}
2020-05-22
職能資格制度や年功序列といった日本型の雇用慣習がなぜ崩れ始めているのか。そもそも年功序列は年齢と共に経験を積み重ねて知識とスキルが向上することを大前提としている。しかし、これからの時代はどうか。技術革新が指数関数的に進み、スキルの陳腐化が格段に速まる。大学入学当初に学んだスキルは卒業する頃には陳腐化しているかもしれない。実際、国連児童基金の調査によれば、世界の若者の多くが将来仕事を得るために必要なスキルを現在の教育では得られないと回答している。
PwCが2019年に発表した「世界CEO意識調査」によると、回答した最高経営責任者(CEO)の5人中4人が、社員の業務上必須スキルの不足と欠如こそが今後の企業成長を損ねる脅威になると指摘した。08年に経営者が抱える課題は「グローバル経験を持つ人材の確保」であったが、19年には「革新的な思考ができる先端デジタル技術に精通した人材」へと変わった。デジタル機器に慣れ親しんで育った若手世代の方が優れたスキルや適応力を持つ可能性もある。実際、役職者のメンター(指導役)として若手社員をつける外資系企業も出てきた。
人工知能(AI)などの先端技術を活用して自動化できる業務範囲が広がり、職場の生産性が高まっている。他方、定型・反復業務の自動化と機械化の結果、人材が担うべき仕事は再定義される。その新たな役割を担うために必要なスキルセットも大きく変化する。
足元では新型コロナウイルス対策としてテレワークが進み、社員や役員のデジタルリテラシーが一段と求められている。つまり、人々は先端技術がもたらす新たな世界に適応するために、新たなスキルを獲得する必要性にかつてないほど迫られるのだ。
しかし、日本人の新しいスキルの獲得は遅れている。PwC Japanグループが19年に実施した「デジタル環境変化に関する意識調査」では、諸外国全体では社会人の85%が新しいスキルを習得しているのに対し、日本は29%であった。技術革新がどんな変化をもたらし、新たなスキルの習得がいかに重要か、社員が健全な危機感を持つための情報発信が急務だ。
このままではスキル不足に起因するIT(情報技術)などのデジタル格差が個別企業の問題にとどまらず、深刻な社会課題に発展する恐れがある。連載では今後の見通しと解決の糸口を紹介したい。
※本稿は、日経産業新聞2020年5月21日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日経産業新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
PwCが実施したグローバル調査から、社会人はテクノロジーが将来的に仕事にもたらす影響をポジティブに感じていることが分かりました。全ての人々がチャンスを得られるよう、アップスキリングが必要とされています。
本レポートでは日本の回答者の回答に焦点を当て、諸外国との比較分析を通じて、日本の社会人の仕事環境の実態や、デジタルデバイド、アップスキリング(スキルの向上)やリスキリング(再教育)を巡る課題を考察します。
テクノロジーの発展により、社会に分断が起きつつあります。私たちの仕事も急速に変化しています。仕事は守れなくても人を守ることはできます。そのためには適切な教育を提供し適切なスキルを身に付けさせ、誰もが今の職場で活躍できるようにしなければなりません。
PwCは2023年10月から11月にかけて第27回世界CEO意識調査を実施しました。世界105カ国・地域の4,702名のCEO(うち日本のCEOは179名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。