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2020-05-25
技術革新が指数関数的に進み、人工知能(AI)に代表される先端技術によって自動化できる業務範囲が急速に拡大している。その影響で人が持つスキルの陳腐化が速まっている。
これからのデジタル時代はこれまでと何が違うのか。従来はソフトウエアなど人の働きを拡張するツールで効率性や生産性を向上させたのに対し、今日の先端技術は単純な計算業務から一定の法則性があるマニュアル作業まで人が担ってきた仕事を自動化して置換できる。技術革新が進めばAIの自律性が拡張し、より広範な業務を代替できると予測されている。実際、2016年の経済協力開発機構(OECD)の調査によると、全ての仕事のうち46%は、50%の確率で失われるか大幅に変更されると推定されている。
こうした世界観では、AIによる自動化・機械化によって生み出される労働力と、人による労働力の双方を組み合わせて最適化を図る。人もAIや自動化技術を使いこなせるスキルを身に付けなければならない。同時に、AIによって置換が効かない、人間だからこそ発揮できるスキルや役割の注目度が高まる。AIが台頭するからこそ、人間のあり方が見つめ直される。
こんな時代に人はどんなスキルを身に着けていくべきか。PwCが17年に発表した「世界CEO意識調査」で最高経営責任者(CEO)に将来的に重要度が増し、かつ獲得が困難になるスキルについて質問したところ、驚きの結果が得られた。現在スキルが不足して人材獲得競争が激しくなっているのは、ビッグデータの統計学的処理やアルゴリズムを扱うスキルを持った人材や、AIなど先端技術の実用化を担う技術者などいわゆる理系の人材である。しかし回答の上位は問題解決能力、適応力、創造力、統率力といったヒューマンスキル(人間力)だった。
人の頭脳になぞらえると、AIが代替できるのは主に左脳的な処理、つまり論理的・数学的な思考であり、理系のスキルが必要な仕事を将来的に代替する可能性がある。それに対してヒューマンスキルは右脳的であり、置換できない人間固有のスキルともいえる。
PwCは将来的に人が担う重要な役割を3つに定義している。1つはアイデアを出して企画を練ること。創造力や発想力が試される。2つ目は、人の経験と英知を結集して活用すること。協創力や共感力、異質性や多様性を受け入れる心構えが欠かせない。そして最後は人を将来へ導くリーダーシップ。実世界で変革を起こすことは人にしかできない。これらの使命を果たすためにも、ヒューマンスキルの重要度が高まることは間違いない。
※本稿は、日経産業新聞2020年5月22日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日経産業新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
PwCが実施したグローバル調査から、社会人はテクノロジーが将来的に仕事にもたらす影響をポジティブに感じていることが分かりました。全ての人々がチャンスを得られるよう、アップスキリングが必要とされています。
本レポートでは日本の回答者の回答に焦点を当て、諸外国との比較分析を通じて、日本の社会人の仕事環境の実態や、デジタルデバイド、アップスキリング(スキルの向上)やリスキリング(再教育)を巡る課題を考察します。
テクノロジーの発展により、社会に分断が起きつつあります。私たちの仕事も急速に変化しています。仕事は守れなくても人を守ることはできます。そのためには適切な教育を提供し適切なスキルを身に付けさせ、誰もが今の職場で活躍できるようにしなければなりません。