
Worldwide Tax Summary 2025年3月号
本稿では、海外税制(米国、OECD、国連、イタリア)の動向を解説しています。(月刊国際税務 2025年3月号 寄稿)
2020-06-02
人工知能(AI)を競争力強化に結びつけるには、AI人材を任用するだけでは不十分である。そもそも経験や暗黙知に基づく組織・事業運営を得意とする日本企業で、AIを使いこなし、自社の強みや顧客への提供価値にまで高めていく試みの難易度は高い。
AIを自社の競争力の源泉とするには従来型の組織・事業運営のあり方を根本的に見直し、アップグレードする必要がある。そのためには組織・事業の基層部分の「組織文化」、つまり組織内の物事の行われ方を決定する行動、感情、思考、信念の自律的パターンから変革することが必須である。
「AI時代の組織文化」への変革に向けて、我々の研究および実践から得られたポイントの中で最も重要な3つを紹介したい。
第1は少数の目的と成果にフォーカスすることだ。AIをどのように戦略の中に位置づけ、どのような成果を期待しているのか、組織内での共通理解が重要である。その際、少数の目的に絞り込むことで、社員の正しい理解が容易になり、望ましい行動変容を促しやすくなる。AIは従来の経験値や暗黙知を否定するものではなく、むしろ相互に補完するものだ。AIを「万病に効く万能薬ではなく、正しい目的に向けて正しく使うもの」と理解することが、組織文化変革の第一歩となる。
第2は「少数の行動」に集中することだ。我々の組織文化変革の研究と実践から得られた最も重要な発見は、「望ましい文化特性を示す少数の『行動』に的を絞り、それを徹底的に実践することが有効だ」というものである。まず実際に行動してみること、行動を徹底することは抽象度の高いスローガンを掲げるより、はるかにわかりやすく実際的で、かつ組織文化変革の効果が見えやすい。
第3は各組織で影響力を持つ「インフルエンサー」を巻き込み、彼らの理解と協力を得ることだ。組織運営の現場で上長からの公式の指示よりも、現場社員が信頼するインフルエンサーの言葉や行動のほうが説得力を持つことは多い。インフルエンサーを見いだし、巻き込み、「少数の行動」を実践してもらうことで、変革の永続性を高めることができる。
AIを企業の競争力に結び付けるには組織文化変革は避けられない。上記のポイントを踏まえ、各企業のAI戦略に応じたアプローチを設計・実践することでAIを競争力強化に活用できるだろう。
※本稿は、日経産業新聞2020年6月1日付掲載のコラムを転載したものです。
※本記事は、日経産業新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
本稿では、海外税制(米国、OECD、国連、イタリア)の動向を解説しています。(月刊国際税務 2025年3月号 寄稿)
2024年4月から日本でも導入されたグローバル・ミニマム課税(国際最低課税額に対する法人税)について、実務上の対応のポイントを全6回にわたって連載形式で解説します。(税務研究会「月刊国際税務」寄稿)
2025年3月、サステナビリティ基準委員会がサステナビリティ情報の開示基準を最終化しました。サステナビリティ開示を巡っては、開示情報の信頼性を担保するため第三者による保証が重要となります。保証計画の策定など、「保証」の実務上の論点について解説します。(週刊金融財政事情 2025年4月1日号 寄稿)
監査における AI 活用の現状と展望を踏まえ、監査役等が意識すべき点について解説しました。(月刊監査役771号(2025年2月号)寄稿)