第13回 日本の生命保険の未来

保険業界が直面するリスクと対応策

4.将来に向けて

生命保険会社の将来的な成功は、商品やプロセスよりも、自社のアイデンティティと目的、市場への参加を選択する方法、持続可能な差別化を創出するための投資のケイパビリティによって定義される。将来的な成功に向けて、次の点について検討する必要があるだろう。

・変化する市場の中でどのように差別化するか

大手プレイヤーが規模を拡大し、多くの保険会社が販売への投資を進め、新規プレイヤーが脅威となる市場の中で、なぜ既存の顧客が契約を更新し続けているのか?またこの答えにどの程度自信があるか?

・価値の獲得方法は明確か

健康・財産などの新たな市場で価値を獲得する方法は、従来のANP/EV中心の見方とは大きく異なる。そのため、一連の価値のけん引要因(契約獲得時の契約転換/抱き合わせ販売、新たな種類の収益基盤、自己資本要件の軽減など)をまずは理解する必要がある。

・自社の社員は挑戦を受けて立つ用意があるか

積極的に関与している従業員は、生命保険会社の中核的存在であり、成功に不可欠である。将来のモデルでは、顧客サービスにおいて人材と従業員の連携に重点が置かれるが、この戦略の変更に向けて強力なリーダーシップスキルが必要になる。人材がすでに課題となっていることを踏まえ、人材計画の策定と、将来のワークフォース戦略との設計をうまく連携させる必要がある。

リーダーがひとたびこれらに対応する態勢を整えると、現在の課題にさらに集中的に対処することができる。

  • 事業のどの分野を(差別化投資の対比として)単純化または再設計したいか
  • どの機能または分野を社内対応または外部委託するべきか(過去の決定を含む)
  • ケイパビリティ構築を加速する上で鍵となるのはどのようなパートナーシップや合弁か
  • 焦点を定め直した事業への変革を通じて、どの人材とケイパビリティにリードを任せるか
  • どのデータが決定的に重要か。戦略を遂行するため、それをどうやって俊敏かつ最も有利に獲得し、維持管理し、利用するか

私たちは、日本の生命保険業界が本質的に魅力的であると確信している。だが、既存企業が競争に参加し続け、成功するためには、長期にわたり抱いてきた考え方に疑問を投げ掛ける必要がある。将来成功を収めるためには、自社のアイデンティティ、固有の「勝つ権利」、差別化するケイパビリティの構築といったものを、参入市場と結び付けていくことが必要であろう。

執筆者

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※本稿は、保険毎日新聞2019年12月3日付掲載のコラムを転載したものです。

※本記事は、保険毎日新聞の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。

※法人名、役職などは掲載当時のものです。

※『Strategy& 日本の生命保険の未来』では、変わりゆく生命保険業界における課題を考察し、日本の保険会社が市場で勝ち残るために役立つ示唆を提示しています。是非ご一読ください。

保険毎日新聞 連載寄稿

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