2019年度及び2020年度インド予算案(税制改正)の概要

2020-08-24

インドの財政年度は日本と同じく4月に始まり3月に終了する。新年度の国家予算案及びその歳入案としての税制改正案の発表は、通常毎年2月1日に行われる。

しかし、2019年度は極めて例外的な年度であった。まず、2020年4月から5月にかけて下院総選挙を控えていたため、例年通りの国家予算案及び税制改正案は総選挙後に発表することとされた。そのため、2019年2月1日に発表された予算案は、暫定予算案(Interim Budget)としての発表となり、税制改正案についても基礎控除額の増額など限定的なものにとどまった。その後実施された下院総選挙では、モディ首相が率いる与党のインド人民党(BJP)が議席を21増加させ303議席を獲得する圧勝を飾り政権を維持した。

第二次モディ政権は、2019年7月5日に第二次政権後初となる2019年度国家予算案及び税制改正案を発表した。当該税制改正案は国会での審議を経て一部修正が行われた上で2019年8月1日に成立している。しかし、その後もGDP成長率は好転せず5%前後の成長率が続いていた中、2019年9月20日にNirmala Sitaraman財務相が経済成長の加速と投資促進のため、景気刺激策として追加の税制改正を発表し、インド国内企業に対して適用する法人所得税率の大幅引き下げ等が行われた。このような大規模な税制改正が、年度予算案の外で行われることは非常に例外的である。結果として、2019年中には複数回にわたり税制改正が行われることとなった。

2020年度は例年のスケジュール通り、2020年2月1日に第二次モディ政権として2回目となる2020年度予算案及び税制改正案がNirmala Sitaraman財務相より発表された。当該予算案は国会審議を通じて同年3月27日に可決成立している。なお、その直前に実施された全土にわたるロックダウンの影響等により、適用時期等について一定の配慮が行われている。

以下では、2019年7月の2019年度税制改正から2020年3月の2020年度税制改正において、日系企業に与える影響や関心が高い分野を中心に取り上げ、今後の方向性についても解説を行う。

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「月刊国際税務」2020年7月号 寄稿
PwC税理法人 インドタックスデスク
マネージャー 横山 義晃
PwCインド 日系企業部
マネージャー 高木 貴文