韓国税務最新動向2020

2020-08-24

OECDにより立ち上げられたBEPSプロジェクト(税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)への取り組み)に係る15項目のBEPS行動計画を中心にした最終報告書が2015年9月に公表された後、各国では、その勧告内容に沿った国内法および租税条約の改正が着実に進行しており、韓国でも、2019年1月1日以後開始事業年度から非居住者および外国法人のPE認定の範囲が拡大されている。また、日本の国外財産調書制度に該当する「海外金融口座申告制度」の申告基準額が2019年申告分から5億ウォン(約4,500万円)に引き下げられるなど、海外財産の把握をさらに強化している。

2020年の税制改正では、「経済活力の回復・革新成長支援」を最優先にし、生産性向上施設への投資税額控除の拡大、設備投資加速償却特例の拡大、研究開発費税額控除の拡大などのインセンティブを拡大した。その反面、日系企業を含む外国法人およびその現地子会社・支店などにとっては、移転価格文書を提出しなかった際の罰則が強化されているといった内容も含まれている。

なお、韓国では税務調査が厳しく行われる傾向があり、調査後に納税者により租税不服手続きや租税裁判が数多く提起される。裁判の結果によっては、更正の請求を通じて納付した税額を取り戻せる機会があるため、税務調査の執行状況や最新の租税判例についても継続的に留意していく必要がある。

本稿では、2020年の税制改正のうち日系企業が留意すべき国際課税分野における改正内容および、最近の韓国の税務実務について紹介する。また、最後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する税制最新動向についても簡単に取り上げることとする。

(全文はPDFをご参照ください。)



「月刊国際税務」2020年7月号 寄稿
三逸会計法人 Samil PwC
パートナー 盧 映錫
ディレクター 原山 道崇
PwC税理士法人
シニアマネージャー 山下 泰樹

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