月刊国際税務 Worldwide Tax Summary 6月号

2022-07-07

2022年6月号Worldwide Tax Summaryトピックス

  1. 2022年度連邦予算案(カナダ)
  2. 2022年度税制改正でグローバルミニマム税導入見込み(韓国(1))
  3. 第1の柱(利益A)採掘業の除外に関するパブリックコンサルテーション文書の公表(OECD)
  4. 恒久的施設(PE)を有しない非居住者へのオンライン広告サービスの支払いは課税されない旨の判決(インド)

  5. 関連者である日本法人間の韓国株式の贈与に係る課税関係(韓国(2))
  6. 株主資本がマイナスの場合の合併および(部分的な)分割(ベルギー)

2022年度連邦予算案(カナダ)

2022年4月7日、クリスティア・フリーランド副首相兼財務大臣は、政府の予算案を公表した。法人税率の変更はない。本予算案には、以下の法人および国際税務の提案が含まれる。

  • 銀行、生命保険会社およびこれらの関連金融機関(所得税法[ITA]パートVI)グループに対する1回限りの15%の新税(CRD: Canada Recovery Dividend)を公表(2021年終了課税年度の法人課税所得に基づき計算。グループメンバー間で10億カナダドルの課税所得免除を割り当て可。2022課税年度に適用、5年均等払い)。同グループに対する追加の1.5%の税も提案(CRDと同一課税ベース。グループメンバー間で1億カナダドルの課税所得免除を割り当て可。2022年4月7日後終了課税年度に適用(2022年4月7日を含む課税年度は日割り計算))
  • CCPC(最終的にカナダ居住個人が支配権を有する非上場企業)のステータスを利用したとみられるタックスプランニングに対処するため、実質的なCCPC(非居住者および公開企業が、その株式の取得権を保有)によって稼得・分配される投資所得に係る課税について、CCPCの課税規定(投資所得に38⅔%の連邦税、分配時30⅔%還付など)に合わせる改正を提案(原則、2022年4月7日以後終了課税年度に適用)。CCPC(および実質的CCPC)の被支配外国関連会社(CFA)の投資所得に係る国外発生財産所得(FAPI)につき、外国税額控除を制限(控除額: FAPI外税×4(法人の係数)→1.9(個人の係数)に合わせる)。CCPC(および実質的CCPC)の投資所得に係る個人・法人税の統合(法人に最高統合個人所得税率で課税、個人株主に資本配当勘定(CDA)から非課税配当)も提案(2022年4月7日以後開始課税年度に適用)
  • 生命保険会社のミニマム税に係る改正 - IFRS第17号(保険契約)への移行による課税ベース浸食を回避するため、契約上のサービスマージン(CSM)およびその他の包括利益の累計額をミニマム課税ベースに包含等
  • 金融機関グループ内等における特定のアグレッシブなタックスプランニング取決めへの対応(一定のヘッジ・空売りを伴う人為的な受取配当控除の否認、および配当補償支払いの全額控除)(2022年4月7日以後の支払い/未払い配当・配当補償支払いに適用(同日前の関連取決めは、2022年9月後に適用))。また、アグレッシブな租税回避を制限するため、タックスヘイブンの企業ストラクチャーを使用する連邦規制金融機関に対し、金融取引承認プロセスの変更を検討)
  • 一般的租税回避防止規定(GAAR)を改正し、未だ税計算に関連していない税属性にも適用(従前の連邦控訴審判決を転換)(2022年4月7日以後の取引および決定通知に適用)。また、GAARのコンサルテーションを2022年夏まで実施、2022年末前までに法案化見込み
  • 大規模な多国籍企業にグローバルミニマム税(第2の柱)を導入するOECDモデルルールのカナダでの実施に関するパブリックコンサルテーションを公表(期限:2022年7月7日)。所得合算ルール(IIR)、および国内ミニマムトップアップ税を2023年(適用時期未定)、軽課税利得ルール(UTPR)を2024年以後導入予定(実施法案もコンサルテーションのために公表予定)。一方、第1の柱は、多国間合意を受け、国内法導入予定(2024年1月1日までに発効しない場合、デジタルサービス税(DST)を2022年1月1日に遡及適用)

以上のほか、デジタルエコノミープラットフォームの売り手に関する税務情報の交換(OECDモデルルールの実施)、ストリップス債に係る利子源泉税(税率軽減となる取決めについて、元本・利札の分離がなかったものとみなす)改正もある。

なお、政府公表予定のハイブリッドミスマッチ防止規定案について、本予算案では、法案(第一段階は、2022年7月1日発効予定)に関するアップデート(実施時期)は示されていない(注)。

(注) 2022年4月29日、政府(財務省)は、ハイブリッドミスマッチ取決めの租税回避スキームに対処するための法案を公表した。本法案は、OECD/G20 BEPSプロジェクト行動2の報告書の勧告を実施することを目的としている。なお、これらのルールで控除否認となる支払利子を源泉税目的で配当とみなす、また、みなし利子控除などの取決めにこのルールを適用するといった、カナダ特有の項目もある。2022年6月30日まで、コメントを募集している。今回は、本報告書の第1章(ハイブリッド金融商品ルール)と第2章(金融商品の税務上の取扱いに関する特定勧告)を実施するものであり、一般的にハイブリッド金融商品を対象としている(二重非課税に対処)。これらの提案は、2022年7月1日から適用される。残る勧告の実施に係る法案(カナダに関連する範囲で)は、後日、利害関係者のコメントのために公表され、2023年以後に適用見込みである。

出典:Government of Canada website / PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年6月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

2022年度税制改正でグローバルミニマム税導入見込み(韓国(1))

企画財政部(MOEF)によると、政府は、第2の柱OECDモデルルールおよびコメンタリーに沿ったグローバルミニマム税を導入するための立法プロセスを進めている。2022年度政府税制改正案の一部として、2022年後半に立法案を公表見込みである。

出典:PwC Korea, Samil Commentary
「月刊 国際税務」2022年6月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

第1の柱(利益A)採掘業の除外に関するパブリックコンサルテーション文書の公表(OECD)

2022年4月14日、OECDは、第1の柱(利益A)採掘業の除外に関するパブリックコンサルテーション(公開協議)文書を公表した(2022年4月29日までコメント募集)。これは、第1の柱(利益A)に関する一連のコンサルテーションの第4回である(第1回はレベニューソーシングとネクサス、第2回は課税ベースの算定(いずれも、本誌4月号参照)、第3回は適用範囲(本誌5月号参照))。規制対象金融サービスの適用範囲除外(注)、および開示セグメントに対する利益A適用のルールについては、後日公表)。現時点では、これらのルール案はOECD事務局の作業によるものであり、包摂的枠組み(IF)ではまだ承認されていないため、協議プロセスと関係なく、変更される可能性があるとしている。本文書では、デジタル経済に関するタスクフォース(TFDE)で検討中のいくつかの未解決課題を具体的に特定し、利害関係者からの意見を募集した。今後、多くの技術的項目に関する詳細コメンタリーの公表が見込まれる。

採掘業の除外は、利益Aの範囲から「採掘活動」による利得を除外することを目的としている。本文書では、グループが、「採掘産品」の販売売上を得ており、かつ、関連する「探鉱(Exploration)、開発(Development)または採掘(Extraction)」を行う場合に、本除外が適用されるとしている。採掘活動の定義には、「産品テスト」と「活動テスト」の2つが含まれ、いずれも満たす必要がある。たとえば、商品取引のみからの売上(関連する採掘活動を行わず)、または採掘サービスのみ(採掘産品を所有せず)を行うことによる売上は、本除外の対象とならない。

本文書では、採掘業の除外の対象となるグループが、利益Aを適用するために従うこととなるであろう、7つのステップを示している(ステップ2および3は、採掘業の除外に特有)。


ステップ1 - 連結ベース/開示セグメントに、一般的スコープルール(2百億ユーロのグローバル売上閾値、および10%の収益率閾値)を適用

ステップ2 - 適格な採掘活動に関連する(第三者)売上を特定・カーブアウトし、残りの適用対象売上に2百億ユーロのグローバル売上閾値を再適用

ステップ3 - 適格な採掘活動に関連する利得を分離・カーブアウトし、適用対象利得に10%の収益率閾値を再適用

ステップ4 - 適用対象売上に、レベニューソーシングおよびネクサスルールを適用

ステップ5 – 適用対象売上の課税ベース算定、および利得配分ルール適用(マーケティング・販売利得セーフハーバー(MDSH)を含め、採掘業の除外利得は考慮されない)

ステップ6 – 二重課税排除のメカニズムを適用(採掘業の除外利得は考慮されない)

ステップ7 – 執行・報告上の必要文書の提出(税の安定性プロセス)

本文書では、特に売上の閾値を超えているが、適用対象の利益率が一貫して10%の閾値を下回っているグループにおける採掘業除外の適用簡素化について検討中であり、また、グループがこれらのルールに準拠するようシステム改修を行う間、初期的な移行期間が必要か検討するとしている。

ステップ2および3の詳細は以下のとおりである。

ステップ2

  1. 採掘活動(採掘産品の販売、および探鉱、開発または採掘)を特定
  2. 一定時点(Delineation Point)において生じる(とみなされる)第三者売上(又はその指標)を特定。なお、一定時点とは、採掘活動の境界点(boundary)であり、以下のいずれか最も早い時点となる
    a.採掘産品の独立した者(グループの所有持分が25%未満の事業体)への販売
    b.採掘産品のクロスボーダーのグループ内移転(近接している場合の例外あり)
    c.採掘産品について、一定の国際的に認められた参照価格が存在 - その参照価格に採掘産品の量を乗じて計算
  3. 採掘産品の第三者販売売上を控除し、グローバル売上閾値を再適用。(上述の一定時点前の)第三者採掘産品販売売上がない場合は、ステップ2を飛ばして、ステップ3へ

ステップ3

  1. 開示された事業セグメント(DOS)アプローチ(適用可能な場合):
  2. 除外売上額の算定に、上述ステップ2の一定時点を適用
    優越性(Predominance)テストの適用:
    除外セグメント:除外売上(第三者売上、グループ内売上、みなし売上を含む)が[75%-85%](未合意)で、適用対象売上が10億ユーロ未満(未合意)のセグメント
    • 対象セグメント:適用対象売上が[75%-85%](未合意)のセグメント(指標アプローチ)
    • 未配賦コストの配賦(客観的な基準を使用(本文書で特定なし))
    • セグメント全体の利益率が10%超の場合、除外売上控除後の適用対象売上に、セグメント利益率を乗じて、適用対象利得を計算
  3. 優越性テストの適用がない場合、混合セグメントアプローチを適用:
    • 未配賦コストの配賦
    • セグメント内調整:コストを、セグメント内の適用対象売上および除外売上に配賦
    • 適用対象利得を計算

事業体レベルアプローチ(DOSが適用されない場合):一般に、上述のDOSアプローチと同じ原則に従うが、セグメントでなく、事業体レベルでの適用となる

a.除外売上が[75%-85%](未合意)で、適用対象売上が10億ユーロ未満の事業体は、除外
b.a.で除外されない場合、その事業体は、適用対象となり、除外売上(上述の一定時点で判定)を控除して、事業体レベルの適用対象売上を計算
c.適用対象事業体を特定の連結セグメントに統合し、費用を適用対象売上に配賦して適用対象利得を算定、10%の利益率閾値を再適用

ステップ3では、グループ内売上の特定、およびコスト配賦が必要となるため、ステップ2より複雑で、適用範囲の平均化メカニズムや損失の繰り越しルールによりさらに複雑になるとしている。なお、上述の事業体レベルアプローチは、規制対象の金融サービスの除外にも同様に適用可能と思われる。

(注)2022年5月6日、OECDは、第1の柱(利益A)規制金融サービスの適用除外に関するパブリックコンサルテーション(公開協議)文書を公表した(2022年5月20日までコメント募集)。現時点では、これらのルール案はOECD事務局の作業によるものであり、包摂的枠組(IF)ではまだ承認されておらず、今後も変更の可能性があるとしている。本文書では、デジタル経済に関するタスクフォース(TFDE)で検討中のいくつかの未解決課題を具体的に特定し、利害関係者からの意見を募集した。今後、多くの技術的項目に関する詳細コメンタリーの公表が見込まれる。
規制金融サービスの適用除外では、利益Aの範囲から、規制金融機関(RFI)のレベニュー(収益)および利得を、事業体単位を活用して除外する。このセクターの特徴は、リスクベースの自己資本比率規制という、独自規制があることである。本適用除外は、その要件に依拠している(特定の資本措置の対象となる事業体のみ、利益Aから除外)。一般的に利得の場所をマーケットに整合させるのはこの規制によることとなる。
本文書で定義されている規制金融機関には、1. 預金機関(事業体の対象期間末の負債の[20%](未合意)以上が預金等)、2. 住宅ローン機関(事業体の対象期間のレベニューの[75%](未合意)以上が信用供与)、3. 投資機関(事業体の対象期間のレベニューの[75%](未合意)以上が、一定の証券業(保管機関、投資銀行、投資会社、ブローカー/ディーラーなど))、4. 保険機関(事業体の対象期間のレベニューの[75%](未合意)超、または対象期間末の総資産価値の[75%](未合意)超が、一定の保険(再保険を含む)・年金契約等関係)、5. アセット・マネージャー(事業体の対象期間のレベニューの[75%]以上が一定の投資運用業(広範なものが含まれることが今後のコメンタリーで示される予定))、および6. 混合金融機関(上述1、3、4、5のいずれかの許認可事業を行い、3、4、または5のレベニューが[75%](未合意)以上)、の6タイプがある(なお、対象活動期間のレベニューの相当部分([50%以上](未合意))がグループ内でないことを求めており、グループ内の財務センター(キャプティブ保険、金融センター)は適用除外にならないことが今後のコメンタリーで示される予定)。また、規制金融機関の機能を排他的に履行する限定タイプの100%グループ内サービス事業体(RFIサービス事業体)(典型的にはコストプラスの限定的な管理業務を想定、今後のコメンタリーで例示予定)も加えて、7つになる。上述の規制金融機関の各タイプの定義には、通常①許認可要件(各国・地域の活動状況で判定(支店レベルでの判定、他法域の同等制度に基づく許認可も考慮の可能性))、②規制資本要件(「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」など(事業体毎のリスクを考慮))、および③活動要件(上述各タイプの要件)の3つの要素があり、これらすべてを満たす場合、事業体のレベニューおよび利得は、利益Aから完全に除外される。なお、これはIFで最終コンセンサスを得た見解でなく、一部のメンバーは、再保険とアセット・マネジメントを利益Aから除外すべきでないとしている点に留意が必要である。
本文書では、規制金融サービスの適用除外の対象となるグループが、利益Aを適用するために従うこととなるであろう、7つのステップを示している(ステップ2および3は、規制金融サービスの適用除外に特有)。
ステップ1 - 連結ベース/開示セグメントに、一般的スコープルール(2百億ユーロのグローバル売上閾値、および10%の収益率閾値)を適用
ステップ2 – 適用対象となる(規制金融サービス事業体以外の各事業体による第三者に係る)レベニューに2百億ユーロのグローバル売上閾値を再適用。なお、簡素化として、グループ最大規模(複数可)の規制金融機関の第三者レベニューを除外して判定、また、対象事業体のレベニュー(グループ内を含む)を累積で判定、という2方法を示している。
ステップ3 – 規制金融サービス(事業体単位)の利得を分離(トップダウン/ボトムアップアプローチ)し、適用対象利得に10%の収益率閾値を再適用(本適用除外が適用されないみなしセグメントは、本適用除外となるみなしセグメントとのグループ内取引に係るレベニューおよびコストを、独立企業原則に基づき認識)
ステップ4 - 適用対象レベニューに、レベニューソーシングおよびネクサスルールを適用
ステップ5 – 適用対象レベニューの課税ベース算定、および利得配分ルール適用(マーケティング・販売利得セーフハーバー(MDSH)の適用上、規制金融サービスの適用除外となる利得は考慮されない)
ステップ6 – 二重課税排除のメカニズムを適用(規制金融サービスの除外利得は考慮されない)
ステップ7 – 執行・報告上の必要文書の提出(税の安定性プロセス)
本文書では、特にレベニューの閾値を超えているが、適用対象の利益率が一貫して10%の閾値を下回っているグループにおける規制金融サービスの適用除外の簡素化について検討中としている。

出典:OECD website / PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2022年6月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

恒久的施設(PE)を有しない非居住者へのオンライン広告サービスの支払いは課税されない旨の判決(インド)

最近の判決(ITA No. 5760/Del/2017)で、デリー控訴審(Delhi bench of the Income-tax Appellate Tribunal)は、当局(不服審査)(Commissioner of Income-tax (Appeals) [CIT(A)])の決定を支持し、PEを有しない非居住者へのオンライン広告サービスの支払いは課税されない旨の判決を下した。

事実関係:

  • 関連年度(2012–13賦課年度)に、納税者は、アイルランドに拠点を置く非居住事業体にオンライン広告サービスの支払いを行った(この非居住事業体は、居住者証明書とPEがない旨の宣誓を提出済)。
  • 納税者は、本非居住者がインドにPEを有しないことを前提に、インド・アイルランド租税条約第7条により源泉徴収を行わなかった
  • 税務当局は、納税者の主張を受け入れず、1961年所得税法のセクション40(a)(i)に基づいて、非居住者に支払われた広告料を否認した
  • 納税者は、CIT(A)での不服審査において、類似判決(Yahoo India Private Limited v. DCIT [ITA No. 506/Mum/2008])に依拠し、インドに非居住者のPEがない場合、所得税法セクション195および租税条約第7条に従って、源泉徴収義務はなかったとした。また、納税者は、2016年4月1日発効の平衡税(Equalization Levy)の導入に言及し、2016年4月1日前のオンライン広告サービスは源泉徴収税の対象ではないと主張した
  • CIT(A)は、インドに非居住者のPEがない場合、非居住者への広告サービスに源泉徴収義務はないという納税者の主張を受け入れた

控訴審判決:

控訴審は、CIT(A)の決定を支持し、インドに非居住者のPEがない場合、オンライン広告サービスは課税されないとした。

本控訴審では、他の裁判所によって公表された最近の判決に沿って、インドの非居住者のPEがない場合、インドの事業所得に課税されないという原則を再確認した。本判決は、平衡税の導入前の年度に係るものであったため、非居住者へのオンライン広告サービスに係る同様の支払いに対する平衡税の取扱いについては、別途検討が必要である。

出典:PwC India, Tax Insights
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PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

関連者である日本法人間の韓国株式の贈与に係る課税関係(韓国(2))

法人所得税法(CITL)第93条(10)(c)(外国法人の国内源泉所得)では、国内資産の贈与から生じる所得は、外国法人の国内源泉所得(その他所得)に該当する。また、日韓租税条約第22条(1)では、「一方の締約国の居住者の所得(源泉地を問わない。)で前各条に規定がないものに対しては、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる」となっており、その他所得に対する源泉地国の課税権を制限している。一方、条約第22条(3)では、締約国の居住者と他の者との間の特別の関係により、第22条(1)の所得額が、その関係がないとしたならば両者で合意したとみられる額を超えるときは、当該超過分に対し、条約の他の規定に妥当な考慮を払った上、各締約国の法令に従って租税を課することができる、となっている。

税務当局(NTS)の最近のタックスルーリングでは、i)日本法人が他の日本法人に韓国株式を贈与、ii)これら2法人は関連当事者、iii)いずれも韓国に恒久的施設(PE)を有しない、というケースを扱っている。本ルーリングの論点は、関連者である日本法人間の韓国株式の贈与から生じる所得が、受贈法人の韓国源泉所得となり、CITLおよび租税条約に基づき韓国で課税されるか、である。

これに関して、NTSは、韓国の資産の贈与からの所得は、CITL第93条(10)(c)に基づいて資産を受領する日本法人の韓国源泉のその他所得となろうが、租税条約第22条(1)および(3)により、韓国で課税されるべきでないとした。本ルーリングにおけるNTSの解釈では、関連者である日本法人間の韓国株式の贈与について、租税条約第22条(3)は、そのような贈与された資産から生じる所得には適用されないことを意味すると考えられる(Seomyeon-2021-Gukjesewon-7098, 2022. 2. 10.)。

韓国と英国、香港、ドイツなどを含む他の国・地域との租税条約では、本租税条約の第22条(3)同様、その他所得に関する例外条項を規定しているが、一般的には、その他所得は源泉地国・地域で課税すべきではないとなっている(韓国-英国租税条約第22条(1)および(3)、韓国-香港租税条約第20条(1)および(4)、および韓国-ドイツ租税条約第21条(1)および(3))。企画財政部(MOEF)およびNTSによって以前出された解釈では、外国法人から贈与された国内資産から得た所得(CITL上は、外国法人の韓国源泉のその他所得)について、韓国と英国、香港またはドイツとの租税条約に基づき、これらの例外条項の範囲に含まれないとしている。これらも、今回のNTSの解釈に沿ったものといえよう。

出典:PwC Korea, Samil Commentary
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PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

株主資本がマイナスの場合の合併および(部分的な)分割(ベルギー)

ベルギーの会社法または税法には、株主資本がマイナスの会社が合併(または(部分的な)分割)ができないことを明示的に示しているものはないが、買収された会社の株主資本がマイナスの場合にそのような取引が可能かどうかについて、法解釈が分かれている。ほとんどの法律専門家は、被買収会社の株主資本がマイナスであっても、100%親子会社の合併が可能であることは同意しているようであるが、これは兄弟会社の合併には当てはまらない。法律専門家の多くは、兄弟合併によって株主資本がマイナスの会社を、別の会社に合併させることはできないという見解である。その主な理由は、兄弟合併では、買収会社が新株を発行する必要があるが、(吸収される会社の株主資本がマイナスであり)合併時に買収会社の資本が増加しないため、それができないであろうからである。また、ルーリング委員会も、過去に同様のポジションをとっているケースがある。一方、新株の発行は、関係する会社の公正市場価値に関連しており、公正市場価値がプラスであれば、株主資本がマイナスの会社との合併は可能であるとの見解もある。

会計基準委員会(CBN/CNC)の見解:

2022年1月19日付のAdvice nr 2022/01で、会計基準委員会は、被買収会社の株主資本がマイナスの場合の兄弟合併(および(部分的な)分割)の会計処理について見解を示した。委員会は、そのような取引がベルギーの会計目的で行われる可能性があり、これは、合併または(部分的な)分割の結果として、買収会社の株主資本がマイナスになる場合も同様であることに同意している。ただし、委員会は、被買収会社がプラスの市場価値を有しており、合併時に発行される買収会社の株式数を決められることを求めている。

ルーリング委員会も、同様の(ニュアンスの)ポジションをとっていることに留意が必要である。

出典:PwC Belgium website
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PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修

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