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2022-11-10
第2の柱の法令案を公表(スイス)
2022年8月17日、スイス連邦議会は、スイスにおける第2の柱の実施に係る重要な側面を規定する法令に関するパブリックコンサルテーションを開始した(2022年11月17日まで意見募集)。
(注)2022年8月15日、香港の金融サービス・財務局(FSTB)は、様々な利害関係者に向けた文書を公表し、GloBEルールの実施を2024年に延期することを示唆した。香港税制の競争力保持の観点から、特に、IIRの実施は早くて2024年(当初計画では2023年にIIR実施)に延期、UTPRとQDMTTの実施時期は「他国・地域を参考に検討・決定する」としている。また、FSTBは、政府が2022年末までにパブリックコンサルテーション(公開協議)を開始する意向を示している。その際、「OECD実施フレームワークの恩恵を受けることができる」とした。(Source: PwC, Latest digital tax byte)
出典:PwC Switzerland website
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年8月10日、予算に先立って公表される年次の税務戦略グループ(TSG)文書が公表された。TSGは政府高官や政治顧問で構成され、税制政策を担当する財務省の事務次官補エマ・カニンガム氏が議長を務めている。TSG は意思決定機関ではなく、本文書は、予算編成プロセスで検討されるオプションと論点の単なるリストである。法人税関連では、以下の重要ポイントがある。
本文書では、法人税の好調な実績(2021年の純税収は153.2億ユーロで、総税収の22.6%を占める)や、国際競争と企業に確実性を与える魅力的で安定的かつ透明性のある法人税制を規定するという目的から、12.5%の税率の重要性を指摘している。また、特定の税額控除制度を見直すとしている。
また、本文書では、2021年法人税ロードマップで取り上げられている項目や、継続中の項目の進捗状況も検討されている。
以上のほか、国際税務の動向として以下も含まれている。
その他の留意点として以下がある。
出典:PwC Ireland website
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年8月5日、アイルランド歳入庁は、Revenue eBrief No. 158/22として、デジタルサービス税(DST)の控除可能性に関する新たなガイダンス(Tax and Duty Manual Part 04-06-03)を公表した。DTSは、一般的に、デジタルサービスや広告の提供に関連する収入に対して課される。Schedule DのCase IとCase II(Taxes Consolidation Act, 1997)に係る税は、税法で認められている控除以外、いかなる控除もなく課されること、また、Section 81は、完全にかつ専ら取引目的のために発生した費用に関して控除を認めていることを改めて示している。以下の DST(リストは随時更新)が完全にかつ専ら取引目的のために発生した場合、歳入庁は、当該取引の所得計算において、控除可能な費用であると認める用意があるとしている(注)。
他の国・地域で課税されるDSTについても、書面での問い合わせを受け付けている。
(注) GloBEモデルルールのコメンタリー第4章パラ36c.によると、DSTは、一般に、特定のデジタルサービスの提供による総収入に適用されるように設計されており、所得税とはみなされないであろうとしている。DSTは、一般に、各国・地域の法律の下で一般に適用される所得税の代わりではなく、それに追加して適用されるように設計されているので、対象税額に係る代替(in lieu of)テストにも該当しないであろうとしている。なお、米国連邦税上、DSTは外国税額控除の対象にならないとされている(本誌2022年3月号参照)。
出典:Irish Tax and Customs website
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年7月28日、連邦財務省(MoF)は、2022年財政法案の草案を業界団体に送付した(2022年8月11日まで意見募集)。本草案の改正案には、ドイツの登記簿に登録された権利に係る支払いに関する課税の改正(ドイツ所得税法第49条)が含まれる。2022年6月29日の「簡易手続」の1年延長に関する通達公表(本誌2022年8月号参照)、および2020年11月の限定的納税義務の廃止法案公表に続き、MoFは、2022年7月28日に、特に非居住者である納税者間でのロイヤルティー支払いに係る課税改正案を公表した。本法案では、ドイツ国内の登録簿に登録された権利の売却によるキャピタルゲイン課税も以下の通り改正されよう(注1、2)。
以上のほか、法人へのビジネスユニットの出資(事業、ビジネスセグメント、パートナーシップ持分または企業の100%持分の継続簿価または中間値での出資)に係る繰延ルールについて、EU/EEAケースと第三国ケースの統一繰延ルールへの改正がある。これらはATAD実施法によって導入され、財政法(Abgabenordnung)第6条(4)に盛り込まれた。したがって、条件を満たせば、申請により、年7回の均等分割納税(延滞利子なし)が可能である(保証/担保が必要)。このほか、2023年12月31日後に完成した居住用建物の定額減価償却率3%への引上げなどもある。
(注1) 本法案によると、ドイツで登録された権利を、ドイツと租税条約(源泉地国の課税権規定なし)がある締結国の拠点グループ法人に移し始めている多国籍企業もあるとしている。なお、OECD第1・第2の柱導入により、ドイツで登録された権利を、ドイツと租税条約がない国の企業に移すインセンティブは減少するとみられている。
(注2) 2022年7月5日、MoFは、クロスボーダーの機能移転の場合におけるドイツ外国税法第1条(1)に基づく独立企業原則の適用に関する新政令(FVerlV 2022 - E)案を公表した。本政令案は、2021年12月31日後開始賦課期間から適用され、現行のFVerlVに取って代わることになろう(2022年7月22日までパブリックコメント募集、2022年秋に修正法案を公表見込み(ドイツ連邦議会の上院(Bundesrat)で可決後、発効))。本政令案によれば、納税者の挙証責任が強化される可能性がある。
出典:PwC Germany website / PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年3月24日付の判決(1 K 181/19)で、財政裁判所(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州)は、クロスボーダー合併差益への5%の課税はEU合併指令第7条に適合するとの判決を下した。
原告は、EUに拠点(seat)または管理地のある5法人の株式を100%所有するドイツ法人である。2010年 4月1日以降、これらの事業体は原告に吸収合併された(資産は簿価移転)。原告の貸借対照表上の株式簿価が低いため、合併による合併差益が生じた。ドイツの税務当局は、この合併差益の5%を、株式売却の場合のキャピタルゲイン同様、控除対象外の事業費用として扱った。原告は、合併差益の95%のみの免税は、合併指令第7条が合併差益の全額免除を予定していることから、これに違反することになるとの見解である。
当財政裁判所は、税務文献における優勢な見解はEU法違反を前提としていると詳細に説明しているが、それにもかかわらず、反対する少数の見解に同意した。財政裁判所は、損金算入不可能な費用という考えを合併差益への課税とみなすことできない、との見解である。合併差益自体は依然としてドイツ国内法の下で完全免除のため、財政裁判所は本件のCJEU(欧州連合司法裁判所)への付託を差し控えたが、連邦財政裁判所への控訴は認めた。
本控訴事件(no. IR 17/22)は、連邦財政裁判所で係争中である。
出典:PwC, EU Tax News
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年8月7日、左翼連合「Pacto Histórico」のリーダー、グスタボ・ペトロ氏が第61代コロンビア大統領に就任し、行政府は新たな税制改革法案を提出した。政府は、2022年内の可決を見込んでいる。その場合、本法案の規定のほとんどは、2023年1月1日から適用されることになろう(注)。なお、コロンビア議会では現在、野党の議席数は20%以下であるが、大統領の政党単体では議会で過半数を占めていない。そのため本法案は技術的および政治的な観点から議論の対象となることが予想され、一部の条項は、議会審議の過程で変更される可能性がある。
本法案のうち、主要な法人所得税(CIT)措置には以下が含まれる。
国際税務関連では、以下がある。
以上のほか、非居住者への配当金に係る適用源泉税率の10%から20%への引上げ、富裕税の再導入(居住者および非居住者個人に加え、CITを申告していない非居住者である事業体(純資本(net equity) 72,000 Value Tax Units(約 70 万米ドル)超のコロンビア資産(株式、売掛金、ポートフォリオ投資及びその他特定の資産を除く)を有する場合。なお、富裕税は0.5%から1%の累進税率で適用され、CITの控除対象にはならない)、石油・ガス・鉱業関連税制の改正(石油、ガスの生産および鉱業活動に際して支払われる採掘権(いわゆる「ロイヤルティー」)の現行控除の撤廃、石油・ガス・鉱業法人に対する還付納税証明書(CERT)の廃止、石油・鉱業に対する経過的な5年間の定額償却控除の撤廃、炭素税の適用範囲の拡大(一般炭の販売、輸入、回収を含め(輸出は免除のまま)、2028年度までに52,215コロンビアペソ/トン(約12.5米ドル/トン)まで税率を段階的に引上げ)、原油・炭素・金の輸出に適用される月額10%の輸出税を導入(一定の閾値あり))、「グリーン」関連税制の導入(包装用の使い捨てプラスチック製品への課税(課税標準は、使い捨てのプラスチック容器または包装のグラム単位の重量)、超加工甘味飲料の消費に対する課税(適用税率は、飲料100mlあたりの糖分含有量によって異なり、1製品あたり最高35コロンビアペソの税額)、糖分を多く含む超加工食品の消費に対する課税)や、祖父条項(提案された法律により段階的に廃止される税制上の優遇措置や恩典を享受している納税者に適用)の採用がある。
(注) 2022年8月5日、日本・コロンビア租税条約(2018年12月19日署名)を発効させるための外交上の公文の交換が行われた。本条約は、2022年9月4日に効力を生じ、コロンビアでは、源泉徴収される租税に関しては2023年1月1日以後に支払われ又は貸記される額、その他の全ての租税に関しては2023年1月1日以後に開始する各課税年度から適用される。(Source: 財務省website)
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年6月30日、欧州連合理事会と欧州議会は、特定のケースで域内市場を歪めている外国助成金に関する規制案の文書について、政治的合意に達した(当初提案について、本誌2021年7月号参照)。当初提案から追加された措置として、追加的な報告や透明性の確保、ガバナンスストラクチャーの適合などがある。最新の合意文書では、外国の助成金は、受益者が外国の助成金を受領する資格を得た時点で付与されたとみなされるべきとしている(実際の支払いは必要条件でない)。外国の助成金が本規制の対象となるには、競争を歪めるものでなければならない。市場の歪曲とならないための閾値として、3年連続で4百万ユーロ(当初提案は5百万ユーロ)未満が示されている。本規則案は、欧州理事会および欧州議会で正式に採択され、官報に掲載された後、発効する見込みであり、発効から6カ月後にEU全体で直接適用される(通知義務は、発効の9ヶ月後から適用)。仮に2022年末に本規制が採択された場合、2023年半ばからの適用となる。
出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2022年10月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
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