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生成AI(人工知能)は自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)で重要な役割を果たす可能性を秘めている。地域に住む人たちからの問い合わせ対応や文書作成、政策立案など多岐にわたる業務において、効率化と質の向上を実現できると考えられるからだ。
自治体が地域の人々に対して発信する情報は年々増加しており、その傾向が今後も続くとみられる。生成AIによって自治体職員の業務負担を少なく、地域の人たちの個々のニーズに合わせた情報を提供できるようになれば、サービスの質が向上して「住民中心のサービスの提供」を具現化できる。
自治体で生成AIを活用する際には、まず各自治体の情報システム全体のアーキテクチャ(基本構造)を俯瞰(ふかん)する観点から、長期的に職員の業務を支援できる技術であるかどうかを見極める必要がある。自治体自身のデータドリブン経営も求められているので、生成AIによって個人や社会がどのように変化し、どういったデータが得られるかという点も重要だ。
地域の人々をはじめとする多様な参加者が生成AIを介した自治体のプロセスに参加することで、新規にさまざまなコミュニティが形成される。それらを効率的・効果的に運用するには、フィードバックを基盤とした包括的なコミュニティを構築しなければならない。そのためには技術の導入だけでなく、戦略の立案や組織・人事制度の整備、業務の見直し、コミュニケーションの再設計が必要になる。
実際に弊社は大阪市や茨城県つくば市と生成AIの活用に取り組んでおり、自治体の未来像や職員の働き方に関する議論を進めている。
ただし生成AIの導入には慎重なアプローチが必要だ。AIが生成する内容は学習したデータに依存するため、データの偏りや誤情報が不適切な結果を生むリスクがある。また、住んでいる人々のプライバシー保護やセキュリティの観点からも、慎重なデータ管理と運用が求められる。これらの課題を適切に理解し、解決することが自治体DXの成功へのカギとなる。
また、生成AIの継続的な利活用に向けては、各自治体内で全庁的な取り組みの推進や他部署のサポートなどの役割を担う生成AI CoE(センター・オブ・エクセレンス)の設置が必要になると考える。
生成AIの環境構築やファインチューニング(事後学習)自体は担当部門だけでも対応できると思われるが、活用拡大の支援や最新動向の共有など、利活用の推進には相談相手が常に必要になる。生成AI CoEは組織全体でのベストプラクティス(最善の方法)の共有や、モチベーションの高い人たちを中心とするコミュニティ活動を組成するといった旗振り役を担う。
生成AIの活用は自治体の業務を根本から変え、DXを加速させる可能性がある。職員の働き方の改善やサービスの質の向上、自治体経営全体の効率化を実現できるだろう。それは自治体にとって新たな時代の幕開けを意味する。生成AIの活用方法と運用の仕組みをしっかりと考えることが、これからの自治体運営において重要になる。
谷井 宏尚
ディレクター, PwCコンサルティング合同会社
※本稿は、日経産業新聞2024年2月16日付掲載のコラムを転載したものです。記事本文、図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本稿は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
前回調査から半年が経過した今回の実態調査では、生成AIに対する認知・推進度合いが大幅に向上し、生成AIの急速な普及を実感する結果となりました。一方で人材・ノウハウ不足などの課題が見え、今後企業に求められるアクションも具体的になっています。
PwCは、先端技術を活用した事業構想の実績、AIに関する支援経験、研究機関との共同研究経験を豊富に有しております。これらを基に、生成AI市場への参入判断、生成AI利活用の導入、生成AIに関するガバナンスの構築を支援することで、デジタルディスラプション時代における企業経営の実現に貢献します。
さまざまな業界や領域においてAI/生成AIの利活用を促進する企業に対し、データプライバシーやセキュリティへ配慮したうえで信頼性・公平性を担保し、マルチステークホルダーへの説明責任を果たすAIガバナンス態勢を構築することを包括的に支援します。
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を行っていく上で、データ管理やAI活用は必要不可欠なものとなっています。PwC...