
カスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスの出会い
マーケットでの競争が激化するなか、成功しているビジネスリーダーは、価値の創出には体験から得られるリターンが不可欠であると認識しています。本レポートでは、顧客と従業員の体験に焦点を当てて企業がとるべき対応策を解説するとともに、日本企業に向けた示唆を紹介します。
生成AI(人工知能)という言葉をメディアで見聞きしない日はないほど、このテクノロジーは私たちの生活に浸透しつつある。ビジネスの現場でも生成AIをいつ、どのように取り入れるか、そもそも取り入れるべきかどうなのかを検討している経営層は少なくない。
今後はビジネスパーソンの仕事のあり方にも大きな影響を与えるだろう。すでにブームの域を超え、不可逆的な変化を生み出し続けるディスラプティブ(破壊的)な技術と、私たちはどう向き合っていくべきか。
生成AIに限らず、新たなテクノロジーをトリガーとしてビジネス変革に取り組む際に重要な視点が2つある。
1つ目は自らの専門性でビジネスの現場における個々の事象を見つめ、その強みに磨きをかけることだ。テクノロジーがどう機能するのかを深く理解するには、活用対象となるビジネスへの高い専門性が必要になるからだ。
2つ目はテクノロジーが開く新しい社会やビジネス環境を思い描いたうえで、俯瞰(ふかん)して洞察する力を持つことだ。これまで存在しなかった未知の世界での成功は、自社単独の力ではなし得ないことが多い。予測されうる変化のうねりを乗り越えるためにも、既存の価値観や成功体験にとらわれず、他者や他社との組み合わせの中で新たな勝ち筋を見定める必要がある。
これら2つの視点が重要なのは、経営層だけではない。個人の立場で技術の発展が生み出す変化の潮流を見渡し、自らの専門性と新たな技術を結び付けることで、どういった新しいビジネスを生み出せるかという視点は、あらゆるビジネスパーソンに必須だといえる。バイアスを捨てて広い視野で思考する癖を持てるようになれば、不確実性の高い時代にも対応できる人材に近づけるだろう。
生成AIというテクノロジーの勃興は、これら2つの視点を養い、ビジネスの変革を実践するための絶好の機会となりそうだ。手軽に使えて結果もわかりやすい生成AIは、専門的な知識がない経営層やビジネスパーソンにとって、従来のAIよりも利用のハードルが低く、仕事面での生かし方もイメージしやすい。
いち早く使い方を模索し始めた企業もあるが、まだ大きな差はついておらず、利用のルールやセオリーも定まっていない。多くの企業がほぼ横並びで生成AIを活用したビジネスモデルや業務のオペレーションを検討している今こそ、経営者やビジネスパーソンとして新しい世界がどうあるべきか、自らの専門性をもって誰と組めばその世界で勝ち筋をつかめるのか思考するのだ。
ただし目まぐるしく変化するビジネス環境や技術にアジャイルに対応するには、失敗を許容する文化の醸成も必要となる。
近い将来、生成AIは当たり前の存在になるだろう。その時には未知のテクノロジーやトレンドがさらに登場しており、事業環境に大きなインパクトを与えているはずだ。そうした時代を見据えて、どんな環境でも生き残っていける視点や思考力を、生成AI時代に培うことを考えてはどうだろうか。
生成AIの勃興は2つの視点を養いビジネス変革を実践する絶好の機会 | |
テクノロジー起点のビジネス変革に必要な視点 | ①自らの専門性と新たな技術を結び付け、多角的な視野と応用力を持つ |
②新しい社会やビジネス環境の変化を予測・俯瞰(ふかん)し、洞察する |
※本稿は、日経産業新聞2024年2月19日付掲載のコラムを転載したものです。記事本文、図表は同紙掲載のものを一部修正/加工しています。
※本稿は、日本経済新聞社の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
※法人名、役職などは掲載当時のものです。
マーケットでの競争が激化するなか、成功しているビジネスリーダーは、価値の創出には体験から得られるリターンが不可欠であると認識しています。本レポートでは、顧客と従業員の体験に焦点を当てて企業がとるべき対応策を解説するとともに、日本企業に向けた示唆を紹介します。
顧客とのロイヤルティを育むことは、組織に価値をもたらし、収益性を高めます。本稿では、PwCが実施した顧客ロイヤルティに関する調査からの洞察を紹介するとともに、日本企業が取るべき対応策を解説します。
市場環境やビジネス要求が絶え間なく変化するなか、企業が迅速な対応と高い柔軟性を獲得するには、DevOpsとデータ駆動型アプローチの融合が有効です。本レポートでは、国内外の成功事例を参照し、データ駆動型DevOpsを実現するための具体的なアプローチを紹介します。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。