「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い」（実務対応報告第37号）の公表（ASBJ）

2018-03-20

日本基準のトピックス第345号

主旨

2018年3月13日、企業会計基準委員会（以下「ASBJ」）は、実務対応報告第37号「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い」（以下「本実務対応報告」）を公表しました。
本実務対応報告は、ASBJが2017年3月29日に公表した実務対応報告第34号「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」（以下「実務対応報告第34号」）を、当面の間、適用することを示すことを目的としています。
本実務対応報告は、公表日以後適用されます。

原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/practical_solution/y2018/2018-0313.html

経緯

2017年3月29日にASBJにより公表された実務対応報告第34号は、退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを当面の取扱いとして定めています（実務対応報告第34号第2項）。

この当面の取扱いは、2017年3月31日に終了する事業年度から2018年3月30日に終了する事業年度までに限って適用することとされ（実務対応報告第34号第3項）、引き続き検討を行うこととされていたため、ASBJにおいて審議が行われてきました。

審議の結果、以下を踏まえ、今後、マイナス金利を巡る環境に大きな変化が生じ、現状の金利水準が大幅に低下する等の大きな変化が生じる状況にない間については、実務対応報告第34号第2項に定める取扱いを、当面の取扱いとして適用することとしています。

退職給付債務の額は、「退職給付見込額のうち、期末までに発生していると認められる額」を超えることもあり得るとの考え方と、超えるべきではないとの考え方のいずれの考え方が適当であるかを一義的に見出すことは困難であると考えられること
現時点では日本銀行により10年物国債金利をゼロ％程度で推移させる政策が採られているため、実務対応報告第34号第2項に定めるいずれの方法を採用しても退職給付債務の計算に重要な影響を及ぼさないと考えられること

主な内容

本実務対応報告は、実務対応報告第34号第3項に定める適用時期について、次のように変更しています（本実務対応報告第2項）。

変更前	2017年3月31日に終了する事業年度から2018年3月30日に終了する事業年度まで適用
変更後	2017年3月31日に終了する事業年度から、実務対応報告第2項に定めるいずれの方法によっても退職給付債務の計算に重要な影響を及ぼさず、当該取扱いを変更する必要がないとASBJが認める当面の間、適用

なお、本実務対応報告の公表にあたって、公表の議決を行う企業会計基準委員会に出席した委員のうち1名が反対しています。本実務対応報告の公表に反対した委員の意見は、本実務対応報告の第4項に記載されています。

適用時期

本実務対応報告は、公表日以後適用されます。