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2019-10-31
2018年11月に、基準諮問会議より、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則および手続に係る注記情報の充実について検討することがASBJに提言されました。この提言を受けて、ASBJは2018年12月より審議を開始し、その結果を公開草案として公表しました。
我が国の会計基準等では、会計方針の開示について、企業会計原則注解(注1‐2)において「財務諸表には、重要な会計方針を注記しなければならない。」と定められています。当該定めは関連する会計基準等の定めが明らかな場合におけるこれまでの実務に影響を及ぼすものではないため、本公開草案においても、当該定めを引き継ぐこととしています。
本公開草案では、重要な会計方針に関する注記は、財務諸表を作成するための基礎となる事項を財務諸表利用者が理解するために、採用した会計処理の原則および手続の概要を示すことを目的(開示目的1)とすること、および当該開示目的は、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合も同じであることが提案されています。
本公開草案では、「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合」の例として、関連する会計基準等が存在しない新たな取引や経済事象が出現した場合に適用する会計処理の原則および手続で重要性があるものが該当するとされています。また、対象とする会計事象等自体に関して適用される会計基準等については明らかではないものの、参考となる既存の会計基準等(他の会計基準設定主体が定めた会計基準等を含む。)がある場合には、当該既存の会計基準等が定める会計処理の原則および手続も含まれるとされています。
本公開草案では、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合も上記の開示目的は同じであるとして、関連する会計基準等の定めが明らかな場合と同じく、重要な会計方針として注記することを提案しています。
ただし、関連する会計基準等の定めが明らかな場合におけるこれまでの実務に影響を及ぼさないために、企業会計原則注解(注1‐2)における定めを引き継ぎ、重要な会計方針に関する注記について次のように取り扱うことを提案しています。
(1)財務諸表には、重要な会計方針について、採用した会計処理の原則および手続の概要を注記する。
(2)会計方針の例としては、次のようなものがある。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。
(3)会計基準等の定めが明らかであり、当該会計基準等において代替的な会計処理の原則および手続が認められていない場合には、当該会計方針の注記を省略することができる。
本公開草案は、2021年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することを提案しています。ただし、公表日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することができることも提案されています。
本公開草案を適用したことに伴い新たに注記する会計方針は、表示方法の変更には該当しません。ただし、本公開草案を新たに適用したことにより関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則および手続を新たに開示するときには、追加情報としてその旨を注記することが提案されています。
1 ASBJは、企業会計基準第XX号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」において、開示について包括的に定めた会計基準において原則(開示目的)を示し、開示する具体的な項目およびその記載内容については当該原則(開示目的)に照らして判断するとしています。
このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。