税務判例検討:資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当 (最高裁令和3年3月11日判決)

2021-06-30

PwC Legal Japan News
2021年6月30日

最高裁判所は、2021年(令和3年)3月11日、内国法人が外国の子会社から受領した剰余金の配当(資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当)に係る法人税法上の取扱いを争点とした事案(以下「本件」)につき、国の上告を棄却し、納税者勝訴の判決を下しました(以下「本件判決」)。

本件は、東京地裁平成29年12月6日判決(以下「第一審判決」)及び東京高裁令和元年5月29日判決(以下「控訴審判決」)の上告審であり、第一審判決も控訴審判決もいずれも納税者勝訴の判決を下していました。これらについては、2018年10月に当法人が発行したニュースレター及び2020年2月に当法人が発行したニュースレターをご参照ください)。

本件判決は、法人税法(以下「法」)24条1項3号(当時)の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・)」の意義につき、控訴審の判断を覆し、「利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われ剰余金の配当」を含むものとしました。その上で、当該法人税法の規定の委任をうけた法人税法施行令23条1項3号(当時)の規定について「利益剰余金及び資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当につき、減少資本剰余金額を超える直前払戻等対応資本金額等が算出される結果となる限度において、・・・法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきである」として、結論的には、納税者勝訴の判断を下しました。これらの判断は、今後の配当等の実務にも影響を与え得るものとして注目に値するため、本稿では、本件判決の紹介と若干の検討を行います。

  1. 事案の概要
  2. 東京高裁の判断
  3. 最高裁判所の判断
  4. 検討
  5. 最後に

(全文はPDFをご参照ください。)

執筆者

北村 導人

パートナー, PwC弁護士法人

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