デジタル課税第1の柱 利益Bに関する追加ガイダンスの公表(移転価格に係る簡素・合理化アプローチ)

2024-06-27

BEPSニュース
2024年6月27日

2024年6月17日、経済協力開発機構(OECD)は、第1の柱/利益Bに関する追加ガイダンス(以下、本追加ガイダンス)を公表しました。

第1の柱/利益Bについては、特にキャパシティの低い国(Low-capacity countries)のニーズに焦点を当てつつ、基礎的なマーケティング・販売活動(Baseline marketing and distribution activities)について独立企業間原則(Arm's Length Price:以下、ALP原則)の簡素・合理化されたアプローチを提供するものとして、包摂的枠組み(Inclusive Framework:以下、IF)において議論が進められてきました。

本追加ガイダンスでは、本年2月に公表された利益B(簡素化・合理化アプローチ)に関する報告書(以下、最終報告書)において合意されていなかった最終報告書第5.2項及び第5.3項に係る適格国に関する定義及びリスト、並びに利益Bに係るIF加盟国の政治的コミットメントの対象となる国の定義及びリストについて、IFのコンセンサスを反映したものとして公表されています。

簡素化・合理化アプローチの枠組みは、適用対象となる販売事業者の利益水準を適切に決定するため、Pricing Matrixの適用、販管費のクロスチェック、及び特定国においてデータが入手できないまたは不十分な場合に対処する仕組みを含む段階的アプローチを採っており、今回公表された最終報告書第5.2項及び第5.3項に係る適格国は、販管費クロスチェック及びデータ入手可能性に対処するメカニズムに関する適格国の定義及びリストとなります。

また、最終報告書において簡素化・合理化アプローチは各国の選択適用とされたため、簡素化・合理化アプローチの下での適用結果は、対象取引の相手国に対して拘束力を有しないものの、IF加盟国の政治的コミットメントとして、特定の国(「対象国」 Covered jurisdiction)について、当該国による簡素化・合理化アプローチの適用結果を尊重し、二国間租税条約が有効である場合には二重課税排除のためにあらゆる合理的措置を講ずることにコミットしています。

なお、最終報告書において合意されていなかった課題として、簡素化・合理化アプローチの判断基準に係る各国が選択可能な追加的オプションとしての定性的基準に関する論点については、今回の追加ガイダンスでは公表されておらず、2024年5月30日のIF共同議長による声明に示されているとおり、利益Bの枠組みを含む第1の柱のパッケージに関する更なる作業が継続しているとしています。

本ニュースレターでは、本追加ガイダンスの概要について解説します。

  1. 簡素化・合理化アプローチ第5.2項及び第5.3項に係る適格国に関する定義について
  2. 利益Bに関するIFの政治的コミットメントの対象国の定義について

(全文はPDFをご参照ください。)

デジタル課税第1の柱 利益B(移転価格に係る簡素・合理化アプローチ)に関する報告書の公表

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