OECD・BEPS行動8 評価困難な無形資産(HTVI)に関する実施ガイダンスの公表

2018-07-31

BEPSニュース - Issue 55
2018年7月31日

 

2018年6月21日、評価困難な無形資産(HTVI)についての移転価格ルール策定に係る報告書(HTVIレポート)(注1)が、OECDから公表されました。HTVIを巡る問題は、BEPS行動8‐10「移転価格税制と価値創造の一致」に係る最終報告を受けて検討が続けられていたもので、今次レポートの内容は新たなガイダンスとしてOECD移転価格ガイドライン第6章のannexとなっています。


本ガイダンスは、評価困難な無形資産に関するアプローチ(HTVIアプローチ)の適用の原則に係る当局向けガイダンスとして策定され、各国税務当局にその理解と適用のための共通基盤を提供することによって、経済的二重課税のリスクを減少させることが意図されています。なお、HTVIアプローチでは、情報の非対称性への対応として、税務当局は、事前の価格取決めの適切性についての検討のために事後的な結果を推定証拠として用いることが可能とされますが、納税者は、取引時の価格算定方法に係る信頼性ある情報を提示することによって、これへの反証が可能とされます。


また、HTVIアプローチについては、国内法や条約を考慮しつつ、納税者にとって確実性を増し、二重課税リスクを軽減する方法で適用されるべきであり、税務当局はできるだけ早期にHTVI取引の特定等を行うべきであるとされています。これはHTVIの譲渡等と収益発生との間にタイムラグがあること等への対応となるものであり、各国が調整可能期間制限の修正等の国内的措置をとることも妨げないとされています。


更に、本ガイダンスでは、HTVIアプローチの適用について、設例を用いた説明がなされており、また、紛争の予防・解決のための相互協議の活用についての説明も加えられています。


(全文はPDFをご参照ください。)