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米国トランプ政権発足による関税への影響
2024-11-28
米国 Tax Topics
2024年11月28日
2024年11月5日の米国における大統領選挙により、トランプ前大統領が米国の第47代大統領に再度選出されました。同時に、本ニュースの執筆時点（※）では最終的な結果は未確定ではあるものの、上下両院でも共和党が過半数の議席を獲得する見込みとなりました。本ニュースでは、トランプ政権発足による関税の影響について、概略を紹介します。
※2024年11月22日
トランプ次期大統領は、米国の貿易関係の再構築と米国製造業の促進を目的とした、一連の包括的な関税政策案を提案してきました。その提案内容の中には、すべての輸入品に対する10%から20％の関税および中国からの輸入品を対象とした60％の追加関税の課税が含まれています。さらには、メキシコ産自動車に対する100％から200％の大幅な追加関税も提案しており、この動きは、メキシコのマキラドーラ制度に依存している企業に重大な影響を与える可能性があります。選挙運動の終盤に、トランプ次期大統領は、就任後すぐにメキシコから米国への輸入品すべてに25％の関税を課す意向を強調しました。
また、トランプ次期大統領は、国内産業を促進するために法人税率の引き下げに言及しており、その税制改革において失われた歳入を、上記の追加関税による歳入で補うことを主張しています。従って、法人税率の引き下げと追加関税は抱き合わせとなり、成立が比較的容易な「財政調整措置（Reconciliation Bill）」を行使することで、実現を図るものと想定されます。
そのため、米国大統領は、一定の条件（例えば不公正な貿易慣行への対応等）を満たすことで議会の承認なく関税を課す権限を有しているものの、追加関税を正式な「財政調整措置（Reconciliation Bill）」において、法人税減少分を相殺する歳入として算入する際には、通常の立法手続きが必要となる可能性も否定できません。
よって、追加関税は米国大統領の一存では決定されず、より広範な議会の立法環境も、その決定に大きな影響を与える可能性があるため、今後の動向を注視する必要があります。
今後、企業においては、トランプ次期大統領が提唱する追加関税により、潜在的にどの程度の関税コストの上昇が起こり得るか、という綿密なシミュレーションが推奨されます。米国に製品や材料を輸出している企業や、メキシコのマキラドーラ制度等のスキームを利用して活動している場合には、特に注意が必要です。メキシコにおける特定の品目に対する追加関税や、免税制度の変更により、メキシコでの追加関税とアメリカでの追加関税の「二重の追加関税」のリスクを認識し、生産や調達戦略を再評価する必要があります。
さまざまなシナリオ下での事業への財務的な影響を予測し、サプライチェーン全体のレジリエンス（緊急時における回復力）を確保するためには、関税や法人税等の税コストを包括的に考慮することが不可欠です。さらには、米国内の動きのみならず、貿易相手国からの対抗措置に対しても、注意深く観察する必要があります。
米国トランプ政権発足による関税への影響
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