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2021-01-29
※2021年1月に配信したニュースレターのバックナンバーです。エネルギートランスフォーメーション ニュースレターの配信をご希望の方は、ニュース配信の登録からご登録ください。
2021年年明けから、日本卸電力取引所(以下、JEPX)のスポット価格が, 1月13日には1kWhあたり250円をつけるなど、異常な高騰ぶりを見せている。1月18日までの東京エリアの1月月間平均価格においても85円近くになる(下図①)など、これまでのとある日・時間帯の価格が一時的にスパイクするといった高騰ではなく、下図②からわかる通り継続的に価格が高騰している。
図①:JEPX東京エリア月間平均スポット価格推移
図②:20年及び21年1月 JEPX東京エリア30分コマ平均価格
コロナ禍の中、寒波の影響によりLNGが在庫不足に陥ることによる供給力不足等、いくつか原因はあると考えられるが、需給のバランスが崩れた結果、異常な高騰を招いていることは間違いないはずである。
価格自体を見ると異常な状況ではあるが、市場の原理から考えると、需要と供給のバランスから価格は成り立ち、そのバランスが崩壊すれば価格高騰することは自然な流れであると言うことができる。
すなわち、重要なことはこのような価格変動の大きい市場環境の中で電力事業を運営していることを理解し、その市場価格の変動に対する対策を打つための手段を持つことである。
その手段の1つとして、東京商品取引所の提供する電力先物取引をはじめとするデリバティブ商品を活用することである。先物取引は将来の価格が未確定の取引をあらかじめ一定の価格で取引を実施する取引である。
電力価格変動が激しい冬場、夏場については、あらかじめJEPXスポット市場からの調達コストを固定化し、異常な価格に備える等の対策を各事業者では検討する必要がある。
実際に2021年1月限月の東京エリア・ベースロード電力は、2020年に6円台後半~9円台後半で約定していると推察され、この先物取引を実施した電力事業者は、6円台後半~9円台後半で電力を調達できていることになる。如何に先物取引が重要であるかが把握することができる。
また新電力の電力販売価格に目を向けると、燃料調整費付きで販売しているビジネスモデルが多くなっている。この燃料調整費も将来の価格は未確定であり、新電力の収支に影響を与える1要素となっている。
燃料調整費は、火力燃料の価格変動を電気料金に反映する費用であり、原油、LNG、および石炭の市場価格と連動していると考えられる。
下図③では、原油、LNG、および石炭の先物価格を基に東京エリアの低圧燃料調整費を計算したものと実際の燃料調整費を比較したものである。非常に近似していることが見て取れる。
これは、原油、LNG、石炭の先物取引価格と相関性が高く、これらの原資産の先物取引の活用により、燃料調整費の変動を固定化することができることを意味する。
2020年には、コロナの影響を受けて原油需要が減少する中、産油国による協調減産が破綻したことにより、原油価格は急落し、その結果燃料調整費も下落している。
これにより、電力事業者の売上も2019年と比較して大幅に減少していると想定され、火力燃料の先物取引を活用することにより、売上減少を一定抑制できたのではないかと考えられる。
図③:東京エリア低圧燃料調整費推移と燃料先物価格を基にした燃料調整費算定結果
電力、および火力燃料の先物取引という手段を持つことにより、価格変動の高い季節、低い季節に応じて使い分けるための自社の戦略を策定し、より高い健全性を保持しながら、電力事業の収益拡大を狙うことができると考えている。
電力スポット価格や燃料調整費の将来予測を重視し、収支報告では市場価格の予測のズレを理由に収益性が高い、低いといったマーケット頼みの事業を運営するのではなく、市場価格の変動を自社の意志でコントロールし、健全な事業を運営することが、経営管理、事業継続性の観点では重要であると考えられる。
改めて、デリバティブはリスクの高い取引ではなく、電力を供給する事業者にとっては健全に事業を営むための手段の1つであることを理解して頂くことが重要である。
PwCでは、電力事業の収益管理、市場リスク管理高度化を目的とした様々なサービスを提供しています。ご関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
<PwC支援サービス例>
電力販売、相対電源調達、JEPXスポット取引、電力先物取引、およびJEPX・燃料調整費フォワードカーブを保持し、需給バランス、電力需給収支を視覚的に把握することができます。また以下のような機能を実現することが可能です。