【いよいよ始まるSSBJ適用】―統合されたサステナビリティ情報の必要性―

2024-12-27

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注目が集まるサステナビリティの取り組み

近年、自然災害の発生や海外における紛争が連日報道され、気候変動や人権への対応など社会の持続可能性の維持に対する意識が高まり、サステナビリティの取り組みが企業の競争力の源泉としてステークホルダーより注目されつつあります。

長期の時間軸で企業が持続的な成長とさらなる価値創造を行う重要性や、どのような活動に取り組んでいくのかを企業と投資家が建設的に対話していく必要性については、経済産業省が2022年8月に発表した「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」によって広く知られることとなりました。

SSBJ適用の背景と対応スケジュール

2021年11月に設立されたISSB(International Sustainability Standards Board)によってサステナビリティ情報の開示に係る基準やフレームワークが国際的に整備され、日本ではサステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan:SSBJ)が設立されてIFRSサステナビリティ開示基準の内容と整合性のある国内基準の開発が進んできました。

2024年3月にSSBJが公表したサステナビリティ開示基準の公開草案では、IFRSサステナビリティ開示基準と同様に、米国のSASB基準についても「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」情報源とされています。

金融庁のサステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループでは、時価総額が3兆円以上の企業については2027年3月期からSSBJ基準での有価証券報告書による情報開示の義務化が検討されています。また、その後に時価総額の規模に応じて順次適用範囲が拡大されることが議論されており、義務化よりも先行して有報での任意開示を実施、あるいは準備を進める企業も見られます。

統合されたサステナビリティ情報の必要性

サステナビリティ情報の開⽰に向けてデータ収集が必要となりますが、単に情報開⽰をするだけでなく経営判断やビジネスの管理に統合されたサステナビリティ情報の活⽤も志向する場合には、多種多様な情報を整合させて収集する必要があります。

サステナビリティの活動を促進していくためにも情報を戦略的に管理/収集/活⽤するスキームづくりが必要となります。

サステナビリティ情報収集の難しさ

統合されたサステナビリティ情報はこれからの企業活動には欠かせない要素となっていくことが見込まれますが、以下に示すようにサステナビリティの要件が広範囲であるため取りまとめが難しく、またデジタル技術やITシステムが複雑化しているためデータ統合管理の難易度も高くなる傾向があります。

  1. サステナビリティ要件の複雑性
    サステナビリティ情報に対する要件はSSBJを始めとする制度対応やステークホルダーとのコミュニケーション、価値創造に向けた経営判断など多様化しており、利活用の要件が複雑となる傾向がある。また制度対応は今後決まるルールもあるため要件変更に対する備えも必要となる。
  2. データ統合管理の難易度が高い
    デジタル化の進展により企業で利用されるITシステムは複雑化が進み、データ統合管理には高い専門性が必要となる。また要件の変更や追加に柔軟に対応できるデータ構造やシステムアーキテクチャが必要となる。
  3. 部門横断体制の確立
    サステナビリティ情報に関する取り組みであるため、サステナビリティの専門性はもちろん、情報(データ)の専門的な知見が必要となる。サステナビリティ部門を中心に事業部門やIT/DX部門、グループ会社を含めた部門横断的な体制構築が必要となる

サステナビリティ情報の利活用に向けたPwCのご支援

私たちはサステナビリティ情報の開示や保証に関する支援はもとより、情報利活用に向けた構想策定/計画立案から国内外の先進事例の提供、データ要件の整理、情報収集業務プロセスの定義やITシステム構築までワンストップで一貫して支援する体制を整えております。

※注釈

IFRS:International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)
SASB:Sustainability Accounting Standards Board(サステナビリティ会計基準審議会)

※出典

METI 伊藤レポート3.0(外部サイト)https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220831004/20220831004.html

金融庁 金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(外部サイト)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/sustainability_disclose_wg/gijiroku/20240514.html

さらにご興味のある方は、下記のサイトをぜひご覧ください。

執筆者

木下 尚悟

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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宮本 幸治

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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水上 康介

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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