【世界で進む原子力発電DX】―カナダの先進事例―

2024-10-31

※2024年9月に配信したニュースレターのバックナンバーです。エネルギートランスフォーメーション ニュースレターの配信をご希望の方は、ニュース配信の登録からご登録ください。

カナダのエネルギー産業は、持続可能性と効率の向上を目指し、さまざまな分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。特に、原子力発電所におけるDXに係る取り組みは、エネルギー供給の安定性と安全性を確保するための重要なステップとなっています。本ニュースレターでは、カナダの原子力発電所におけるDXの最新動向と具体的な事例についてご紹介します。

カナダの原子力発電所におけるDXの背景

カナダは、エネルギー供給量の約15%を原子力発電に依存しています。特に、オンタリオ州では電力の約60%が原子力によって賄われており、この地域での原子力発電は重要な役割を果たしています。一方で、老朽化したインフラと新技術への対応が課題となっています。このような背景から、原子力発電所の運用効率や安全性を向上させるためにDXが推進されています。

実際の取り組み事例

PwCカナダは、オンタリオ州にある大型原子力発電所でのDXを支援しています。AVEVAシステムを導入することでAI(人工知能)とビッグデータを活用した運用管理システムの導入を進めています。このシステムにより、設備の状態をリアルタイムで監視し、異常の予兆の早期に検出することが可能となるなど、安全で効率的な運用を目指しています。またそれに加えて、以下のような利点を実現させようとしています。

DXがもたらす利点

  1. 安全性の向上
    デジタルツイン技術やシミュレーション技術を活用することで、リスクの事前評価やトレーニングがより精緻に行えるようになる。これにより、オペレーターの意思決定が迅速かつ正確になり、事故のリスクが低減する。
  2. 運用の効率化とコスト削減
    発電所の運用管理が自動化され、データをリアルタイムで収集し、分析することが可能となる。これにより、設備の予防保守が促進され、無駄な停止時間や修理コストの削減が見込まれる。
  3. 持続可能性の推進
    エネルギー効率の向上と温室効果ガス排出量の削減が求められる中、DXは環境への影響を最小限に抑えるための重要なツールとの認識の下、スマートグリッド技術や再生可能エネルギーとの連携を進めることで、持続可能なエネルギー供給の実現に寄与する。

今後の展望

カナダにおける原子力発電所のDXは、今後も進化することが期待されています。政府や企業は最新技術を取り入れながら、安全で持続可能なエネルギー供給を実現するための取り組みを強化しています。また、今後もDXが進むことで、原子力発電所の運用がさらに最適化され、カナダ全体のエネルギー戦略において重要な役割を果たしていくと考えられます。

グローバルネットワークを活用したPwCのサービス

PwCは、世界中に広がるグローバルネットワークを活用し、原子力発電所のDX推進に向けた包括的なサービスを提供しています。

グローバルネットワークの強み

  1. 現地の専門知識とグローバルなベストプラクティスの融合
    PwCのグローバルネットワークは、各国の規制、技術的要件、運用慣行に精通したプロフェッショナルを擁しており、これらの知識をグローバルなベストプラクティスと統合することで、地域ごとの特性に対応したDX戦略を構築します。これにより、日本での円滑なDXの推進を支援します。
  2. 最先端の技術と知見へのアクセス
    PwCはデジタルツイン、IoT、ビッグデータ解析、AIなどDXに必要な最新技術を駆使し、原子力発電所の運用効率化とリスク管理を支援します。グローバルなチームが協力することで、最先端の技術を活用したソリューションを提供します。
  3. プロジェクト管理のグローバルサポート
    複数の国や地域にまたがるDXプロジェクトを効果的に管理するため、PwCはグローバルネットワークを駆使し、世界各国・地域のプロフェッショナルが連携しながら支援を提供することが可能です。

執筆者

小飯田 章

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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村尾 康次

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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